◆優勝争いは3チームに
「渦に巻き込まれると多分難しい。3、4チームと勝ち点1や2差でしのぎを削ったら経験がないチームは意気消沈するんじゃないか」。町田が首位を走っていた8月上旬、黒田剛監督はJ1初参戦という立場を踏まえながら、シーズン終盤の優勝争いをこう見通していた。広島に敗れ、肩を落とす町田イレブン=9月28日、Eピースで(内山田正夫撮影)
まさに今、避けたかった苦境に立たされている。町田が8月以降に急失速する間、リーグ優勝3度の広島と昨季王者のヴィッセル神戸は着実に背後に迫っていた。優勝争いはこの3チームに絞られつつある。広島が勝ち点62で首位に立ち、同61の神戸と同59の町田が後を追っている。 黒田監督の就任以降、リーグ戦で死守してきた記録が二つある。一つは同じ相手に1シーズンで2度負ける「シーズンダブル」を阻止することだ。だが9月28日の天王山、4月にも敗れた広島に0-2で屈し、就任2年目で初めて「ダブル」を許した。◆「連敗なし」記録は継続
もう一つは直近2試合で連敗しないことだ。J2で優勝した昨季も含め、黒田体制になってからの74試合では一度も連敗がなく、現在も継続している。負けた後にやり返そうとする「反発力」をみせてきたからこそ、チームは大崩れせず、J1でも躍進してきた。川崎フロンターレ戦を前に取材に応じるFC町田ゼルビアの黒田剛監督=3日、東京都町田市で
支えにしてきた記録の片方は途絶えたが、連敗しない記録はまだ伸ばすことができる。次の川崎戦でここぞの反発力を示せるか。優勝戦線に残るためには勝利が絶対条件になる。 3日に取材に応じた黒田監督は「ここで何かを諦める必要は全くない。可能性がある限りは、上を目指す」と食らい付いていく姿勢を強調した。優勝争いの渦の中で空回りしないよう「目の前の一戦が大事」と戒めるように何度も口にした。◆自力優勝はできない だからこそ…
リーグ戦は残り6試合。上位2チームとの直接対決を終えている町田は、自力で上回ることはできない。それでも昌子は「他力だからこそ、僕らが今やるべきはしっかり上位についていくこと。目の前の1試合をしっかり戦いたい」と表情を引き締めた。広島-町田 後半、攻め上がる町田・藤本。左は広島・新井=9月28日、Eピースで(内山田正夫撮影)
クラブ関係者によると、川崎戦のチケットは4日現在で予想を上回る売れ行きだ。「天空の城」の異名があるホームの町田GIONスタジアムが過去最多の観客で埋まる可能性が出てきた。 昌子は「勝つ喜びをホームで味わいたい」と決意をにじませた。サポーターのかつてない後押しに勝利で応えられるか。意気消沈してはいられない。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。