(27日、第154回九州地区高校野球大会決勝 神村学園0―6明豊)

 七回裏。先頭打者の神村学園4番、正林輝大(3年)は2球目の直球が甘く浮いたのを見逃さず、力強くたたいた。球は左中間を抜けて二塁打に。だが打線はつながらず無得点。ベンチでの会話は少なく静かだった。

 正林はこの日、「チームを勝たせる」と試合に臨んでいたつもりだったが、四回に3点を先制されて以降、チームメートは意気消沈し、コミュニケーションが希薄になっていた。そう気付くと、打席に入る仲間に「甘く入るスライダーを狙おう」などと率先して声をかけ始めた。チームは次第に活気を取り戻した。

 九回。ともに中軸を担う上川床勇希(3年)と入来田華月(2年)が安打を放ち、得点の好機が生まれる。結果的には得点にはつながらなかったが、夏に向けた課題に気付くことができたという。「負けていてもしょぼくれず、ベンチから盛り上げる」。そんなチームとなって甲子園を目指す。(太田悠斗)

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