プロ野球・巨人

○巨人1―0阪神●(23日・甲子園)

 負ければゲーム差なし。猛追を見せる2位・阪神と最後の直接対決に臨んだ首位の巨人に勝利を呼び込んだのは、苦しみ抜いたベテランの一振りだ。坂本勇人が値千金の決勝適時打を放ち、優勝へ大きな1勝をつかんだ。

 投手陣が踏ん張り、両チーム無得点のまま迎えた七回だった。吉川尚輝、岡本和真の連打で、無死一、三塁。最大の好機に代打で登場したのは、スタメンから外れた18年目の坂本だった。追い込まれながら外角の直球に食らいついた打球は、右翼手の前で弾んだ。

 伏線があった。阪神に1点差で敗れた前日、「6番・三塁」でスタメン出場した坂本は、得点圏に走者を置いた場面で3打席続けて凡打に終わった。「野球人生の中でも、なかなかしたことなかった。一生忘れない」ほどの悔しさだった。

 だからこそ、翌日に再びチームが作った好機は「感謝の気持ち」で打席に立ち、意地の一打を放った。

 今季は開幕から思うように調子が上がらず、6月に2軍落ちを経験した。それでも「最後に頼れるのはベテラン」と、大事な終盤で再び起用を続けてきた阿部慎之助監督は「(坂本を)信じて良かったです」とたたえた。

 前日までの連敗で足踏みしたが、接戦を制して優勝へのマジックナンバーは「4」に減った。残る6試合に総力を結集し、4年ぶりの頂点をつかみに行く。【川村咲平】

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