【日本-サモア】後半、タックルを受けながらパスを出す李承信=秩父宮ラグビー場で2024年9月15日、長澤凜太郎撮影

ラグビー・アサヒスーパードライ パシフィック・ネーションズカップ準決勝(15日・秩父宮ラグビー場)

○日本代表49―27サモア代表●

 いつもとは異なる背番号「15」を背負った李承信選手(神戸)が、日本の攻撃を活性化させた。これまで桜のジャージーを着る時は司令塔の「10」が主戦場。フルバック(FB)では初めてのテストマッチ先発出場だったが、広くピッチ全体を見渡して、好機を演出した。

 序盤の前半6分、相手陣22メートル付近での展開から李選手が防御網の裏を狙ったキックを蹴ると、CTBディラン・ライリー選手(埼玉)が反応して先制トライを奪った。その後もスペースを狙ったキックで得点をお膳立てしながら、自らも1トライ。トライ後のゴールキックも全6本を決めて大勝に貢献した。

 李選手に代わり10番スタンドオフ(SO)で先発した立川理道(はるみち)選手(東京ベイ)の存在も大きかった。代表SOとしての先発出場は9年ぶりだった立川選手。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)が「とても落ち着いていて、いい判断をしてくれる」と期待した通り、サモアの強烈な重圧や縦への推進力を冷静にいなすベテランらしいプレーで攻撃にリズムを生んだ。

 先輩の熟練の「技」によって、重圧が軽減された状況でボールを受ける機会が増えた李選手は、プレーに余裕が生まれて視野を広く持つことができ、もう一人の司令塔として攻撃の勢いを加速させた。試合後には「自分のスキル、プレーの幅が今日の結果にもつながった。本当に自信の持てるゲームだった」と充実感をにじませた。

 次回2027年ワールドカップ(W杯)での4強入りを目指して、さまざまな新戦力を起用しながら理想形を模索するエディー・ジャパン。新たなシステムが機能しての難敵からの快勝劇に、ジョーンズHCも「ステップアップとなるゲーム」と手応えをつかんだ様子だった。【角田直哉】

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