<ごっちゃんです! 東京のご当所力士>嶋村(序二段)  大相撲秋場所で西序二段91枚目として挑んでいる東京都狛江市出身の嶋村(しまむら)=荒汐部屋=は、相撲未経験で角界入りした23歳。入門前は相撲と結び付きづらい道を歩んでいた、異色の経歴の持ち主でもある。初土俵からまだ約1年半の新弟子として、自己最高位(序二段61枚目)の更新を目指している。今場所は4連勝で勝ち越しを決めた。(丸山耀平)

◆少年時代、相撲中継に「こんなすごい人たちがいるんだな」

秋場所7日目 取組に臨む嶋村

 嶋村 元々相撲は好きでした。よくある話ですが、家族が家でテレビの相撲中継を見ていたので。自分も4歳か5歳くらいから一緒に見るようになりました。「こんなすごい人たちがいるんだな」と。ただ、相撲はやってませんでした。小学校のときは水泳。2、3年生から柔道を始めました。通っていたのは、狛江市の柔道クラブ「池田道場」。新型コロナウイルス禍の影響でクラブが活動できなくなるまで、稽古をしていました。  【スポーツに打ち込んでいた嶋村。だが、実は幼いころからもっと好きだったのが、建築物だ。高校卒業後、建築関係の専門学校に入学。図面を書いたり、建築の法律を学んだり。将来は建築関連の仕事に就こうと思っていた】  嶋村 テレビ番組の「大改造!!劇的ビフォーアフター」がきっかけでした。家の内装とか、建築物を見るのが好きですね。良い建物だと思うのは、両国国技館です。一目で相撲をやるところだと分かる外観ですし、設備とかが使いやすくて、後々のことを考えられているなと思います。思い出深いのは「相撲教習所」。土俵が三つあるのは入門するまで知りませんでした。

◆入門の年齢制限ぎりぎりで

思い出深い相撲教習所を前で写真に収まる嶋村

 【転機となったのは「就職浪人」中。20歳を過ぎ、将来について考え、自らと向き合った】  嶋村 専門学校卒業後の1年間、就職活動をしていました。その中で、いくつかの会社から内定もいただきました。ただ、将来をどうしようかと、考えていくうちに好きだった相撲への興味が芽生えてきました。2022年秋場所を国技館で生観戦して、心が決まりました。入門の年齢制限(一般は23歳未満)がぎりぎりで、チャレンジしたいと思いました。  【入門するなら荒汐部屋一択だったそう。強い熱意で角界の門をたたくことになった】  嶋村 ずっと若隆景関の相撲が好きだったので。荒汐部屋しか考えていませんでした。部屋のホームページを見つけ、「入門したいので見学させてください」と電話しました。観戦した秋場所後の9月に初めて見学して、入門するまで計3回。まわしを締めて稽古場にも下りました。

◆兄弟子から「相撲の取り口が良くなった」と励まされ

 【昨年夏場所で初土俵を踏み、そこから約1年半。念願の荒汐部屋で着実に成長を遂げ、自己最高位の更新を目指している】

秋場所7日目 醍醐桜(中)を攻める嶋村(左)

 嶋村 部屋の雰囲気は過ごしやすくて、兄弟子も優しいです。今は立ち合いで首を下げないよう、しっかり頭で当たっていくことを心掛けています。9月の秋場所前、部屋でちゃんこを食べているとき、若隆景関から「相撲の取り口が良くなった」と声をかけてもらい、それがうれしかったです。自己最高位の更新を目指して、先を行く兄弟子たちに追いつけるように頑張っていきます。  【20年以上過ごした狛江市の魅力をアピールすることも忘れていない】  嶋村 多摩川が近くて景色が良いですね。夏場でも涼しい気がします。花火大会も2万発上がりますし、見どころの一つですかね。

 <嶋村> 本名・嶋村智弥(しまむら・ともや)。2001年2月10日生まれ。178センチ、122キロ。自己最高位は序二段61枚目。

   ◇  大相撲では「江戸の大関より、故郷(くに)の三段目」と言われます。大阪、名古屋、九州の各場所では、郷土の力士が「ご当所」として特にひいきにされるのは、よく知られたところ。でも、東京では年3回も開かれるのに、力士自身も地元開催という感じがあまりしないとか。そこで東京出身で、かつ普段はなかなかメディアに登場しない幕下以下のお相撲さんを随時、紹介していきます。


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