2年前の全国学生相撲選手権団体戦で、日体大のブフチョローン選手(左)を上手投げで破った日大の花岡真生選手=東京・両国国技館で2022年11月6日、三浦研吾撮影

 学生相撲の名門・日大の花岡真生(まさき)選手(4年)が14日、大記録に挑む。堺市の大浜公園相撲場で開催される「第49回全国学生相撲個人体重別選手権」(毎日新聞社、日本学生相撲連盟主催)=以下、全国体重別=の135キロ未満級を1年生から3連覇しており、他の階級も含めて誰も達成したことのない4連覇に迫っている。【大村健一】

 「特に意識はしてないのですが、出る以上は優勝したい。1年生の時に優勝して、4年生の時にできないのも悔しいので」。花岡選手は、偉業達成を懸けた全国体重別を前に、こう淡々と語った。4連覇が「前人未到」ということも知らなかったという。

 落ち着いた口調には、理由がある。

 学生相撲出身で唯一、大相撲で横綱となった輪島博さん(故人)ら多くの名力士を輩出した日大で、花岡選手は主将を務めている。約50人の部員をまとめるリーダーとして重視するのは、個人戦よりも団体戦。目標も11月の全国学生相撲選手権での団体優勝だ。「昨年は(2023年の学生横綱で前主将の)草野直哉さんら頼れる先輩が多かったけれど、今年は自分たちが引っ張っていかないといけない。この大会で勝って、勢いをつけたい」。全国体重別も「団体日本一」に向けたステップという認識だ。

 「エリート街道」を歩んできた。熊本県宇土市出身。元大関で幕内の正代ら多くの力士を育てた「宇土少年相撲クラブ」で5歳のころから相撲を始めた。同クラブには、草野前主将(現・大相撲西幕下17枚目の草野)や、7月の東日本学生相撲個人体重別選手権(東日本体重別)で無差別級を制した日大の川上竜昌選手(4年)も所属。ライバルに恵まれ、小学生時代には「わんぱく相撲全国大会」を2連覇するなど早くから頭角を現した。

 地元の強豪・文徳高校では、コロナ禍の影響もあり、3年時に多くの主要大会が中止となったものの、2年時には、全国高校総体(インターハイ)で団体優勝し、個人でも3位入賞を達成した。「環境も稽古(けいこ)相手も。本当に周りに恵まれている」。子どものころから得意とする「左四つ右上手」の形を磨き上げ、日大でも数々のタイトルを手にしてきた。

両上手からじりじりと寄る日大の花岡真生選手(中央奥)=東京都千代田区の靖国神社相撲場で2024年7月28日午後2時38分、大村健一撮影

 東日本体重別は、準決勝で東洋大のミャンガンバヤル選手(4年)に土を付けられた。右上手を取りきれず、懐に潜られ、押し切られた。「立ち合いで受けにいってしまうことがある」と自らの弱点を分析。「自分から切り込んでいくことを心がけ、大事なところで勝ちきれるようになりたい」と前を向く。今後の進路は「まず団体日本一。それを果たしてから考えたい」。さらなる高みに向け、稽古に余念がない。

大の里や遠藤も届かなかった「4連覇の壁」

 1976年の第1回から半世紀近い歴史の中で、3回の優勝を果たした選手はいる。日体大の斎藤一雄さん(現監督)は1986、88、89年に無差別級で優勝。最近では、同大学の工藤唯織さんが2021~23年の65キロ未満級で3連覇を達成した。

 全国体重別は、後に大相撲を沸かせた力士たちも輩出している。関脇・大の里は日体大時代の19年と21年に135キロ以上級を制覇。幕内・遠藤は日大時代の09、10年と2年連続で無差別級の頂点に立った。しかし、4連覇には届かなかった。

 花岡選手が大記録に挑む全国体重別。14日正午から毎日新聞デジタルの特設サイトでは、花岡選手が出場する注目の135キロ未満級を含め全取組がライブ配信される。

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