先輩からの体を張ったエール――。28日にほっともっと神戸であった野球高校日本代表との壮行試合で、大学日本代表は9投手が1イニングずつ投げる継投策を採った。

  • あの暗闇に光をくれた色紙と仲間と 京都国際・山本、もう涙は出ない

 そこには、18歳以下(U18)アジア選手権(9月2日開幕、台湾)に臨む高校代表への、ある思いが込められていた。

 7―1で大学代表が勝った試合の先発は、3月にプロが中心の日本代表にも参加した中村優斗(4年、愛知工大)。150キロ超の直球を連発し無失点だった。

 右腕は「絶対に無失点で抑えようと思った。台湾での試合へ、少しでも力になれれば、と」と話した。

 後を継いだ8投手も140キロ台後半の直球や切れのいい変化球で高校代表を翻弄(ほんろう)した。押し出し四球による1失点にまとめ、連打を許したのは1度だけだった。

 1イニングリレーの背景には、各大学の秋季リーグ開幕が目前に迫り、なるべく多く実戦登板させたいという事情があった。

 と同時に、大学代表の堀井哲也監督(慶大)は「大学生の強い球を高校生に経験してもらうために、1イニングを全力で投げさせたかった。壮行試合ですから。右左、持っている変化球、球の強さなど(前の投手と)なるべく対照的になるような順番にした」と狙いを明かした。

 高校代表の小倉全由監督は言った。「みんなドラフトにかかるような、速い球、コントロールのいい投手。そういう選手と戦えたことをプラスにしたい」。

 チーム唯一の2安打を記録した高山裕次郎(3年、健大高崎)も「ひるまず打ちにいけたのはよかった。大学生からいいところを吸収できたと思うので、アジア王者になって帰ってきたい」と話した。

 「超高校級」を体感した中身の濃い敗戦は、高校代表の糧になったはずだ。(松沢憲司)

■高校日本代表のメンバー

 ▽投手(8人)桜井椿稀(鶴岡東)、坂井遼(関東第一)、藤田琉生(りゅうせい)(東海大相模)、中崎琉生(京都国際)、今朝丸裕喜(報徳学園)、間木歩(同)、高尾響(広陵)、田崎颯士(りゅうと)(興南) 

 ▽捕手(2人)箱山遥人(健大高崎)、熊谷俊乃介(関東第一) 

 ▽内野手(5人)高山裕次郎(健大高崎)、石塚裕惺(花咲徳栄)、宇野真仁朗(早稲田実)、花田悠月(智弁和歌山)、山畑真南斗(明徳義塾) 

 ▽外野手(3人)徳丸快晴(大阪桐蔭)、境亮陽(りょうや)(同)、浜本遥大(はると)(広陵)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。