（23日、第106回全国高校野球選手権大会決勝 京都国際2―1関東第一）
0―0で迎えた十回表無死満塁。打席には京都国際の1番、金本祐伍（ゆうご）さん（3年）が立った。
フルカウントからの6球目。外角低めの直球を見送った。ボール。先制となる押し出しの四球をもぎとり、右手で大きくガッツポーズをみせた。
京都市伏見区出身。府内外六つの高校から誘いを受けたが、「地元で野球をしたい」と京都国際へ。
けがに悩まされた。1年の夏に腰痛を発症し、昨秋は右足を負傷した。初戦で敗れた今春の選抜大会はベンチ入りしたが、試合に出られなかった。「負けたこと、出られなかったこと、いろんな悔しさがありました」
チームのためにつなぐ打撃を徹底し、打撃フォームを見直した。オリックスの森友哉選手を参考にしたという重心を低く構えたフォームがはまり、最後の夏はレギュラーをつかんだ。
スタンドから声援を送った母の朱美（あけみ）さん（48）は「元は自分が自分がという性格。（四球を選んだ場面も）前だったら振っていたと思います」と成長を喜んだ。父の嘉之（よしゆき）さん（55）は決勝前日、ラインで「祐伍は家族のヒーロー。明日は監督と部長をヒーローにしてやれ」とエールを送った。金本さんの返信は「優勝するわ」。
有言実行した金本さんは試合後に言った。
「京都府民として奮起したい思いがあった。とてもうれしいです」（木子慎太郎）
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