◆高難度エアから「逃げない」
2022年北京五輪銅メダリストの26歳は、ターン(こぶ斜面の滑り)、エア(空中技)、スピードの3要素いずれも安定感を増し、2023〜2024年シーズンのW杯で日本男子初の種目別優勝を決めた。北京冬季五輪 男子モーグル決勝 コブを攻める堀島行真=2022年2月5日、中国・張家口で(木戸佑撮影)
最も採点配分の高いターンは、板のエッジを使うカービングと呼ばれる滑りを「僕は得意」とし、海外勢が苦手とする浅いこぶでのスピードをうまく制御する。 その上で2回のエアは難度の高い技の組み合わせから「逃げないことが今季(種目別優勝)につながった」と振り返る。ダブルフルツイスト(伸身後方1回宙返り2回ひねり)とコークスクリュー1080(軸をずらした3回転)。この組み合わせで過去、W杯総合優勝12回のミカエル・キングズベリー(カナダ)とハイレベルな戦いを演じてきた。◆「イチかバチか」技を五輪の勝負技に
ただ、長年こだわってきた堀島でも「ダブルフルツイストは苦手要素がある」。こぶの深さなどコース状況は会場で違い「エアの高さを出せないコースでは体が折れ曲がってしまったりする」からだ。北京冬季五輪 男子モーグル決勝3回目でエアを決める堀島選手=2022年
コース状況で組み合わせを選択するエアは、ターンほどの採点配分はないが、他選手も高難度の技で成功を狙ってくるなどモーグルの醍醐味(だいごみ)でもある。 堀島が2019年W杯の試合で「イチかバチか」で挑んで成功した軸をずらした4回転、コークスクリュー1440に挑む選手も今季いた。点数がつかなかったその選手の失敗例から、「それほど着地が難しい」という大技の完成度を自身も高め、この技も五輪での選択肢にしたいという。◆「常にトップにいることを心がけている」
「今の流れはコンスタントに結果を出し続ける選手が評価される。成功させていることをジャッジに何試合も何試合もアピールしていかないと、高い点数がつくっていうものでもないなと」 安定した滑りを示し続けることが好循環につながるとみて、「常にトップにいることを心がけている」と力強く語る。北京冬季五輪の男子モーグルで銅メダル獲得し、日の丸を掲げて喜ぶ堀島行真=2022年
◆「ライバルが勝ちたい試合」をターゲットに
2023~2024年シーズンの堀島は開幕前から、W杯で確実に優勝を狙ったターゲット試合が4試合あった。 中でも「相手選手が、ここで勝ちたいと思っているところで、自分が勝てるか」。キングズベリーが過去勝ち続けてきた開幕戦フィンランドやその地元カナダの試合、五輪種目になったデュアルモーグルの米国での試合など、いずれもライバル意識が表れた形だ。 「直接教え合うということはないが、キングズベリー選手がインタビューで答えている言葉とかを聞いて、そういうこと(その会場で勝つ意味)を考えていたんだと」 開幕戦は制したが、すべての結果を伴ったわけでなく、カナダでは「勝ちたい欲や相手のホームの雰囲気にうまく調整できなかった」と振り返る。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。