(19日、第106回全国高校野球選手権大会準々決勝 関東第一2―1東海大相模)

 主将として、投手をリードする捕手として、東海大相模の木村海達(3年)は、いつも先頭に立って厳しい練習をこなし、あいさつや掃除などグラウンドの外でも自分を律してきた。

 バッテリーを組む藤田琉生(3年)は「良いときも悪いときも、容赦なく指摘してくれる」。率直な言葉に、チームメートは全幅の信頼をおく。

 昨秋の県大会の後に右ひじにけがを負い、身も心もグラウンドから遠ざかった時期があった。不安や焦りが態度に表れ、「チームに悪影響だ」と主将を降ろされかけた。しかし、和泉淳一部長に「ふてくされている時間がもったいない。上の世界でやりたいんだろう」と諭され、自分を見つめ直した。

 春には正捕手として復活。ピンチの場面では、投手に「完全にゼロに抑える必要はない。勝てばいいんだ」と声をかけて落ち着かせ、本来の力を引き出した。激戦の神奈川大会を勝ち上がっても「一戦必勝」と冷静さを保ち、目の前の試合に集中する姿勢を仲間に示し続けた。

 この日の準々決勝では、原俊介監督の「お前たちの力を信じている」という言葉に奮い立ったが、七回に自ら配球したチェンジアップを左翼席に運ばれ、流れを相手に渡してしまった。「藤田は逃げ腰にならず、強気に攻めていける頼もしい存在。粘り強く投げてくれた」

 大学でも野球を続け、プロをめざすつもりだ。つかめなかった「日本一」は、後輩に託した。(手代木慶)

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