(16日、第106回全国高校野球選手権大会3回戦 関東第一3―2明徳義塾)
関東第一の鉄壁の守りが、名将の勝負手を封じた。1点リードの七回だ。関東第一は無死一、二塁と攻められた。
ここで、明徳義塾は4番打者に代打を送ってまで、バントで走者を進めようとしてきた。
マウンドの坂井遼は動じない。「馬淵監督さんが率いるチーム。何がくるか分からなかったが、周りと声をかけ合った」。高めの147キロで、狙い通りバントは強い球足で自らの正面に。三塁封殺で犠打を阻止した。
まず1死。次打者の一、二塁間のゴロを二塁手の小島想生が、2死後は三塁手の高橋徹平が三遊間を抜けそうなゴロをそれぞれ飛びついて好捕。小島が「ライト方向に飛んできそう、と左にステップしたら、当たった」と言えば、高橋は「体が勝手に反応した」。総力で反撃の芽を摘んだ。
数々の作戦で名勝負を繰り広げてきた明徳義塾の馬淵監督も「あそこで送っておけば、スクイズでも何とでもなった。痛かった」と、敗因の一つに挙げた。
関東第一にとっては、継投で試合を作れたことも大きい。東東京大会で登板2試合だけの左腕坂本慎太郎が先発で2回を無失点と粘り、同点のまま5回からエース坂井を投入できたことが勝ち越しにつながった。
13安打7得点と大勝した2回戦とは違い、接戦をものにしての8強進出。大舞台で両局面の戦いを経験できたことも次戦へとつながる。相手は東海大相模。攻守ともに勢いを増すチームを試すには、不足のない相手だ。(福角元伸)
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