(16日、第106回全国高校野球選手権大会3回戦 東海大相模8―1広陵)

 東海大相模を相手に踏ん張る2年生投手を、2人はベンチで並んで見つめていた。

 一回表、甲子園のマウンドに、背番号10の山口大樹投手(3年)が初めて上がった。二回までは二塁を踏ませぬ好投。だが、1点リードの三回、四死球を重ねた。力みが取れないまま、1死満塁のピンチ。3番打者に中前の2点適時打を許し、試合をひっくり返された。

 五回には、先頭打者に甘い変化球を痛打され、初の長打を浴びた。1死三塁とされると、中井哲之監督は「3点目はやれん」とエース・高尾響投手(同)を送った。

 それでも、相手の猛打は止まらない。高尾投手は初球から狙われ、3連打を浴びる。思い通りに直球が走らず、5点目を奪われると、次の六回にも3点を失い降板した。

 春夏4季連続の甲子園の舞台に立った広陵。1年春からエース番号を背負う高尾投手がチームを支え続け、その背中を同学年の山口投手が追いかけてきた。

 自主練習のキャッチボールや寮の風呂をともにする2人だが、山口投手は対抗心を抱いていた。高尾投手とは違うタイプの投手になろうと、緩急で打ち取る投球術を身につけた。今夏の広島大会は、高尾投手を超える計21イニングを投げ、35奪三振。高尾投手も「すごく刺激になる」と高め合った。

 試合後、山口投手は「相手の声援がすごくて、想像以上のプレッシャーでした。2人でここまでやってこられて良かった」。高尾投手も「自分がやれることをやってきたので、悔いはない。山口はナイスピッチで、頼もしかったです」。ともにすがすがしい表情を浮かべた。(根本快)

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