【大社-創成館】最後の打者を抑えてほえる大社の馬庭=阪神甲子園球場で2024年8月15日、吉田航太撮影

高校野球・夏の甲子園2回戦(15日)

○大社(島根)5―4創成館(長崎)●

 諦めかけた気持ちを奮い立たせたのは、仲間の声だった。実に107年ぶりとなる夏2勝が懸かったマウンドを託されたのは、エース左腕・馬庭優太だ。

 報徳学園を相手に137球を投げて完投勝利を挙げた11日の1回戦から中3日。「感じたことのない疲労があった」と体が重かった。一、二回は相手打線を3者凡退に仕留めたものの、三回に失策が絡んで失点した。一時は追いついたものの、六回には2点を勝ち越された。気持ちは切れかけた。

 ベンチに戻ると仲間の声が聞こえてきた。「ここから行くぞ!」。失点のショックで見失いかけていたことを思い出した。「自分たちの目標はベスト8」。七回から再びギアを入れた。九回まで三塁まで進ませなかった。

 タイブレークにもつれこみ2点を勝ち越した直後の延長十回裏。無死一、二塁からバント処理を悪送球した。無死満塁となり、内野ゴロの間に1点を奪われたが、仲間を信じる気持ちはぶれなかった。

 最後の打者。2ストライクを奪った後にバックスクリーンの方を向いた。「最高の瞬間、ラスト1球を楽しもう」。最後はスライダーで空振り三振を奪って喜びの声を上げた。【円谷美晶】

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