8月11日に初戦を迎えた福島代表・聖光学院。惜しくも初戦敗退に終わったが、随所に聖光らしいプレーが光った。選手たちの一球にかける思い、それを見守る家族、仲間の思い、球場全体の熱気を福島テレビ・氏家彦斗記者が報告する。
＜手の内知る…東北対決＞
山形代表の鶴岡東との、東北対決に臨んだ聖光学院。先発のマウンドを託されたエース高野は、ランナーを出しながらも要所を占めるピッチングで得点を許さない。
しかし3回、ヒットとエラーで2アウト2・3塁のピンチを迎えるとレフト前にはじき返され、2点を先制される。追い付きたい聖光学院だが、相手のエース櫻井を打ち崩すことができない。
＜エースの自覚 高野投手＞
対する高野も、5回に圧巻のピッチング。「背番号1番をもらって、エースという自覚をもってしっかり臨めた」と話す高野。三者連続三振で味方の援護を待つ。
甲子園で輝きを放つ息子の姿を、聖光学院OBの父・達也さんが見守る。「まだ5回ですし、9回まで何があるか分からないので、最後までチームのために頑張って腕を振ってもらいたい」と息子へエールを送った。
＜2年生も練習補助員も…一丸となって＞
すると8回、聖光学院は連続ヒットでチャンスをつくる。打席には唯一の2年生レギュラー菊地。応援席で活躍を願っていたのは、練習補助員として支えてきた3年生の岸田彰真さん。「あいつ（菊地）も緊張して打てないと言うが、なんだかんだ打つので、今日も打ってくれると思います」と話す。思いが通じたのか、内野ゴロの間に1点を返す。
聖光学院は、9回にもショート強襲のヒットなどでランナー1・2塁とし、最後まで粘りをみせるが、あと一本がでず試合終了。1対2で鶴岡東に敗れ、3年連続の初戦突破はならなかった。
高野結羽投手は試合後「仲間を負けさせてしまって悔しい。仲間に支えられてきた3年間だった」と語った。
＜記者の視点 一球・一本の怖さ＞
勝敗をわけたポイントを、福島テレビの氏家記者は「一球・一本の怖さ」と表現する。
エースの高野投手は8回まで登板し、11三振を奪う力投をみせた。唯一といってもいい失投が2点を奪われた3回、高めに浮いたスライダーを狙われた。
聖光学院は、相手を上回る9本のヒットを放ったが、勝負所であと一本がでなかった。
試合後、佐藤主将が「チームの事をあまり好きになれる時期が無かった」と打ち明けるなど、同じ方向を向けずに軋轢が生まれることもあったという。
それでも、夏の大会に向け選手一人一人が、チーム第一に動けるように成長し、最後はスローガンにかかげる「さざれ石の巌」のように、小さな石がひとつの大きな岩となって戦い抜いた。選手たちは、胸を張って福島に戻ってきてほしいと氏家記者はいう。
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