夏の甲子園に出場する聖和学園(宮城)は、宮城大会の決勝で「巨大な壁」を破り、創部20年で春夏通じて初めて甲子園への切符を手にした。2年前に全国制覇を果たし、東北に初めて深紅の大優勝旗を持ち帰った仙台育英。聖和学園の三浦広大主将(3年)は「育英の分まで、甲子園で精いっぱい戦う」と誓い、聖地に臨む。
2年前の敗戦を胸に
宮城県には強豪校がひしめき、仙台育英が夏の甲子園に過去30回、東北は22回出場している。仙台育英は2022年に初優勝し、23年に準優勝した。
04年創部の聖和学園がこれまで最も全国に近づいたのは22年夏、仙台育英との宮城大会決勝だった。この試合に1年生でただ一人出場した三浦選手は、1番打者として3打数2安打。三回には一時同点となる適時打を放ったが、1―3で惜敗し、悲願の甲子園にあと一歩、届かなかった。
「自分たちの弱さを痛感した。2年間、ずっと苦しかった」。翌年の夏は仙台育英と当たる前に、3回戦でコールド負け。一方、同学年の仙台育英の選手たちは22年夏と23年の春・夏に3季連続で甲子園を経験し、聖和学園にとっては大きすぎる壁となっていた。
三浦選手は昨夏の敗退後、主将に選ばれた。八島知晴監督は「選手たちに聞いても『満場一致』だった。落ち着いていて、人間性もすばらしい。仲間を黙々と引っ張っている」と高く評価する。
最後となる今夏、宮城大会決勝の相手は「対戦を待ち望んでいた最強のライバル」になった。仙台育英が繰り出す5投手に対し聖和学園は計19安打を放ち、8―5で勝った。三浦主将自身も1番打者の役割を果たし、4打数2安打と活躍。試合後には「努力が報われた」と涙した。
ライバルから届いたメッセージ
甲子園の組み合わせ抽選の後、三浦主将のスマートフォンに「LINE(ライン)」でメッセージが届いた。「組み合わせ決まったね。頑張れよ」。中学時代に軟式の選抜チームで知り合った、仙台育英の武藤陽世投手(3年)からだった。「ありがとう」と短く返信した。
三浦主将は「仙台育英に勝ったからといって、甲子園で上位に進めると決まったわけではない。地元の人たちに『聖和が出てよかった』と思われるよう、自分たちのプレーをして勝ち上がりたい」と意気込んでいる。【早川健人】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。