社会人野球第65回JABA長野大会決勝(12日・長野オリンピックスタジアム)
○TDK5―3王子●
けが人が相次ぎ苦しんできたチームを再び全国の舞台へと押し上げたのは、甲子園の後輩から刺激を受けた2年目の若き長距離砲だった。
六回に1点を勝ち越して、なおも2死満塁の好機。打席に立った6番・打川和輝は、相手投手が変化球の制球に苦しんでいるのを見て「真っすぐが来ると思った」。初球を振り抜くと走者一掃の適時二塁打となった。貴重な追加点をたたき出し「めちゃくちゃうれしかった」と静かに喜んだ。
秋田・金足農高では吉田輝星(現オリックス)とともに3年夏の甲子園に出場し、4番として準優勝を経験した。東日本国際大を経て、「最後に野球をやるのは秋田がいい」と昨春にTDKに入社した。
1年目から試合に出てきたものの、けがも重なってなかなか結果が出せなかった。今年も春先に指を骨折して思うように練習が積めず。6月の都市対抗東北2次予選も振るわず、チームも2年連続で予選敗退した。今夏は打撃の構えやタイミングの取り方を一から見直し、状態を上げてきた。
今大会中、甲子園で開催中の全国高校野球選手権大会に母校が6年ぶりに出場した。9日の1回戦は長野のホテルで“観戦”した。金足農は敗れたが、九回に4点を追い上げた後輩の姿に熱い思いがこみ上げた。「自分もまた全国の舞台で活躍したい」。刺激を受け、自らのバットで日本選手権の切符をたぐり寄せた。
社会人ではまだ2大大会でベンチ入りもしたことがない。この秋には、再び全国で輝いてみせる。【円谷美晶】
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