(12日、第106回全国高校野球選手権大会2回戦 広陵2―1熊本工)
初回、好守に球場がどよめいた。
広陵の先発はエース・高尾響投手(3年)。初回、失策と犠打で1死二塁とされ、いきなりピンチを背負う。
「ちょっと球が浮き気味だな」。右翼手の田村夏芽(なつめ)選手(同)は、エースの調子を感じ取った。熊本工の3番打者が右打席に入ると、守備位置を少し中堅方向に移動した。
その2球目。「インパクトの瞬間に、集中して一歩目を踏み出せた」と、右中間の空白地帯に落ちそうな打球を、足からすべり込んで好捕。すぐさま二塁に送球し、飛び出した走者を刺して併殺にした。
後ろにそらせば、先制点を奪われるところだったが、「ロースコア予想で、響の立ち上がりも心配だった。取れるアウトは取りにいく気持ちでした」。流れを渡さない積極的な守備に、高尾投手も笑顔をみせた。
チーム一の俊足を誇る田村選手は、守備範囲の広さだけでなく、常に次の塁を狙う走塁でも貢献。五回に四球で出塁すると、初球から二盗を決めて揺さぶった。
「(2番打者の)自分と(1番の)浜本がチャンスを広げて、中軸に回す」と役割を自認する。その浜本遥大(はると)選手(同)はこの日、逆転の2点適時打を放った。ただ、田村選手は4打数無安打で、出塁は四球の1回のみ。「塁にでないと何もできない。出塁の確率をあげていかないといけない」。手応えと反省を胸に、東海大相模(神奈川)との3回戦に臨む。(根本快)
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