パリ・オリンピック レスリング女子76キロ級 決勝(11日・シャンドマルス・アリーナ)
鏡優翔(ゆうか)選手(22)=サントリー 金メダル
好きな言葉は「カワイイ」「オシャレ」。ネイルや髪形にもこだわりマットに立つ鏡優翔選手は、プレーだけではなく見た目でも楽しませる異色のレスラーだ。今大会もフランス国旗にちなんでトリコロール柄に染めた髪に、「カワイイ♡」と書かれたマウスピースを着用して注目を集めた。
そのことを積極的に発信する背景には「アスリートはこうあるべきだ」という従来の固定観念をなくしたい、との思いがある。「スポーツ選手は真面目でなければならない、みたいなイメージは今もあると思う。自分は競技も一生懸命頑張るけれど、オシャレもしたいし、ネイルもしたいし、可愛くいたい。自分の中で切り替えができていれば、大会でもしっかり勝てることを証明したかった」
五輪直前の5月に右膝の靱帯(じんたい)を損傷するケガをした。マット練習再開には1カ月以上を要したが、普段から仲のいい藤波朱理選手(日体大)からの励ましの動画に元気をもらった。「私の人生、エンターテインメントだと思った。思い通りに進まず、新たな道筋を立てるしかない。これを成し遂げたら『私すごいぞ』って思い、切り替えた」と究極のポジティブ思考で乗り越えた。
五輪最重量級で日本女子の決勝進出は初めての快挙。憧れの浜口京子さんも五輪は銅メダルが最高だった。その浜口さんからはパリに向けて「このまま突き進んで」と激励を受けた。「気合を注入された」。先輩たちの思いを背負い五輪女王への道を駆け上がった。
2004年アテネ大会で五輪種目になって以降、数多くの好勝負を演じてきた日本女子レスリング界。「強くて、カワイイ」を標ぼうする新世代レスラーが、また一つ新たな名場面を刻んだ。【パリ角田直哉】
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