バーディーパットが入った瞬間、喜びのあまり顔を覆った。銀メダルだった2016年リオデジャネイロ・オリンピック、銅メダルだった21年の東京五輪に続き、リディア・コ選手(ニュージーランド)が手にした最も良い色のメダルは、コースに差し込んだ西日によって更に輝きを増した。
3日目を終えて首位タイ。最終日は上位陣が軒並みスコアを崩す中、前半で3バーディーとスコアを伸ばし波に乗った。13番で池に入れ、ダブルボギーとなるも崩れない。「自分のプレーに集中することだけを心がけた。『自分のエンディングは自分で書く』と自らに言い聞かせ続けた」。最後も守りに入ることなく攻めきった。
アマチュア選手だった12年1月にオーストラリア・ツアーの大会を14歳9カ月で制し、当時のプロ大会世界最年少優勝記録を更新。同年8月に米女子ツアーをも最年少記録で制した。15年には史上最年少の17歳で世界ランキング1位の座に就いた「天才少女」も、27歳となった。今年1月には節目のツアー通算20勝目を挙げた。
五輪のゴルフ競技では男女通じて初の「メダルスラム」を達成。今回の優勝で、米女子プロゴルフ協会(LPGA)の定める殿堂入り条件を満たし、大きな節目を迎えた。記者会見では「とんでもないこと」とおどけつつも「今はこの瞬間を楽しみたい。少し肩の荷が下りた」と笑顔を見せた。
「(優勝した)今だから言うけど、これが私にとって最後の五輪」と語ったコ選手。3度目の表彰台でようやく流れた自国の国歌を聞くと、目元から再び涙がこぼれた。【パリ倉沢仁志】
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