【木更津総合-神村学園】七回裏神村学園1死二塁、今岡が適時三塁打を放つ=阪神甲子園球場で2024年8月10日、渡部直樹撮影

高校野球・夏の甲子園1回戦(10日)

○神村学園(鹿児島)8―5木更津総合(千葉)●

 点を取り合うもつれた試合にけりをつけたのは、3番を担う2年生のバットだった。

 見せ場は同点とし、なお七回1死二塁で投手交代した後にやってきた。右打席に入った今岡拓夢(たくむ)は「相手をリズムに乗せる前に打つ」。初球の外角寄りの甘いスライダーを強振した。打球は鋭く左中間を破る勝ち越し三塁打になった。この一打が後続に勢いをもたらし、この回計4得点を呼び込んだ。

 一回と三回の打席は木更津総合のエース・千葉雄斗の変化球に苦しみ、三振だった。気持ちが沈みかけた時、チームメートから何度も「切り替えろ」と言われ、七回の好機は落ち着いて打席に入れた。「ベンチのみんなが打たせてくれた」。殊勲打の後、三塁ベース上で普段はあまりしないというガッツポーズを繰り出した。

 2年生ながら昨夏と今春に続く3度目の甲子園だ。昨夏は兄で主将を務めていた一塁手の歩夢さんとともに、4強入りを果たした。

 「兄のように自分がチームを引っ張って、(昨夏の)成績を超えたい」と強い気持ちで迎えた今夏。鹿児島大会では3割以上の打率を残した。

 自身の性格は「恥ずかしがり屋で、授業中は自分から発言しない」。しかし、野球になると人が変わる。小田大介監督は「兄の歩夢は努力家だが、弟の拓夢は感覚で(打撃の動きを)覚える。攻守に『華』があり、スター性を感じる」と評する。楽しみな2年生だ。【黒詰拓也】

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