パリ・オリンピックは8日、重量挙げの男子73キロ級がパリ南アリーナであり、宮本昌典選手(27)=東京国際大職員=が6位となった。3年前の東京五輪後に母を亡くし、形見の指輪を試合直前までつけて臨んだ今大会。直前の腰の負傷が響き、男子として40年ぶりのメダル獲得はならなかったが、「悔しいけど全力は出せた」と晴れやかな表情で語った。
宮本選手はスナッチ151キロ、ジャーク187キロ、トータル338キロの結果だった。最後の試技ではジャークの重量を一気に引き上げ、メダル圏内に入れる193キロに挑んで失敗した。数秒間その場で座り込み、立ち上がって天を仰いだ。それでも果敢な挑戦に、会場から大きな拍手と声援が送られた。
東京五輪は7位になり、その後に母を病気で亡くした。この日の本番前はヘビの模様が施された形見の指輪を一時身につけ、パワーをもらってから試合に臨んだ。「集中していないんじゃないか、というくらいお母さんのことを思っていた」と振り返る。
家族以外にも多くの人に支えられた。宮本選手の師匠の一人は、1964年の東京五輪から2大会連続で金メダルを獲得した三宅義信さん(84)。所属する東京国際大でウエートリフティング部の監督を務める。この日の試合後、ビデオ通話で連絡を取った宮本選手は「お前、オリンピックの顔になってるな」と言われたという。普段の柔和な表情が険しくなっていることに気づいた、師匠からの励ましの言葉だった。
メダル獲得の期待に応えられず「荷物ができたと感じる」という宮本選手。次の目標は4年後のロサンゼルス五輪だ。「メダルを取ります。どういうふうにすれば勝てるか工夫していきたい」。飛躍を誓った。【黒川晋史】
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