先月26日に開幕したパリオリンピックの開催国、フランスは地元の声援を受けて多くの競技で躍進が目立っています。
競泳男子では22歳のマルシャン選手が200メートルのバタフライと平泳ぎ、それに200メートルと400メートルの個人メドレーの4種目で金メダルを獲得しました。個人での4つの金メダル獲得は今大会最多です。
また、フランス国内で人気が高い柔道では男子100キロを超えるクラスでテディ・リネール選手が自身3回目の金メダルを獲得して混合団体での2連覇にも貢献しました。
このほか、伝統競技であるフェンシングでは金メダルを含む複数のメダルを獲得したほか、7人制ラグビーやカヌー、自転車といった競技でも金メダルが出ています。
この結果、7日時点でのフランスの金メダルは13個で、過去最も多かったアトランタ大会での15個に迫っています。
さらにメダルの総数は51個となり、前回・東京大会の33個を大きく上回り、これまで最多であった北京大会の43個を超えました。
元監督・元コーチが語る リネールの強さ
柔道男子のテディ・リネール選手は100キロを超えるクラスを制して柔道の個人としては野村忠宏さんと並んで最多となる3個目の金メダルを獲得し、団体戦でも存在感を示しました。
フランス代表の元監督、ステファン・トレノーさんが「彼はほかの選手を無視することはない。対戦相手が右利きか左利きかだけでなく、それ以上のことを非常に正確に知っている。どのようにその技を返すことができるかを注意深く研究している」と話しました。
そして、代表の元コーチでデータ分析を担当していたティエリー・ロワゾンさんは「世界中に出て行っていることが彼の成功の鍵の1つだ。常に練習パートナーを変えることができ、最終的にはテクニックを維持できる」と世界各地を巡って強化を重ねるなど入念な準備をしてきたことが今回の金メダル獲得につながったと指摘しました。
ロワゾンさんはことしの春、専門のデータ分析の会社を立ち上げ、パリ大会に向けてもリネール選手をサポートしてきたということです。
混合団体での斉藤立選手の試合を例に、その強さを分析してくれました。注目したのは斉藤選手の得意技、内股。相手のまたのあいだから足を跳ね飛ばして投げる技で、今大会、東京大会金メダリストの選手もこの技で豪快に投げました。
しかし、リネール選手は身長が斉藤選手より10センチあまり高く、足の長さでも上回るため、斉藤選手が得意とする内股では投げられにくいと分析していたということで2回の対戦ともリネール選手は斉藤選手の内股を落ち着いてさばき、ポイントを奪われることはありませんでした。
ロワゾンさんが指摘するリネール選手のもう1つの狙いが「自分自身が指導を受けるリスクを冒さずに、試合の主導権を維持すること」
この2試合ではいずれも攻撃をしかける頻度は斉藤選手が上回っていましたがリネール選手がチャンスを逃さずいずれも一本勝ちを収めた結果になったといいます。
特に本戦ではリネール選手が指導1つだったのに対し、斉藤選手は2つ受けていました。周到な準備でリネール選手は今大会2つの金メダルを獲得しフランスの躍進にも大きく貢献しました。
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