“メダルを取りたい思いは強い”

「オリンピックでメダルを取る感覚は、経験しているからこそ分かる。取りたい思いは強い」

メダルへの強い思いを語っていた東京大会の銀メダリスト、野中生萌選手。

重点的に鍛えてきた課題のリード種目で得点を伸ばしきれず、準決勝で敗退となり、悔しさをにじませながらも「ベストは尽くしたし誇りに思う」と今ある力を示しました。

東京大会は3種目で競う複合で銀

スポーツクライミングが初めて採用された東京大会、野中選手は「ボルダー」、「リード」、「スピード」の3種目で競う複合で、持ち味のパワーを生かした登りを見せて銀メダルを獲得しました。

パリ大会で種目変更 得意種目の1つなくなる

しかし、パリ大会では種目が変更され、いわゆる複合の種目は「ボルダー&リード」として行われることになりました。

ボルダーで世界トップクラスの力を持つ野中選手ですが、課題は最も苦手としていた、登った高さを競うリードでした。

ボルダーに次いで得意にしていた、スピードがなくなったことでパリに向けての強化がより急務になったといいます。

3年間 持久力を地道に高める

「いちばんは持久力をつけること。練習をコツコツやるしかない」と、この3年間壁を登り続けて持久力を地道に高めてきました。

世界選手権への出場経験があり、野中選手を中学生から指導する伊東秀和コーチは「東京大会の時よりは持久的な戦いになると思ったので、ボルダーとのバランスを取りながら、力をつけてきた。どんな壁が来ても対応できる幅を持てるようになった」と、その成長を語っていました。

決勝進出ラインの8位とは0.8ポイント差

そして8日の準決勝、後半のリードラウンド。ボルダーで7位につけていた野中選手は「実力以上を出したい。とにかく自分の全力を出したい」と壁に向き合いました。

スタート直後からテンポよく登っていき、順調なスタートを切りましたが、中盤、足の置き場所に苦しみ、バランスが取りづらくなって腕を休ませられるポイントが満足にありませんでした。

疲労が蓄積していった野中選手は60ポイントのホールドを目前にして落下。

結果的に、決勝進出ラインの8位の選手とはわずか0.8ポイント差であと一手の差で決勝進出を逃しました。

野中選手「ベストは尽くせた」

野中選手は「リードはものすごく実力も上がったし、ほかの大会でも結果を残せるようになったので、それはすごく誇りに思う。思ったよりも早い段階で疲れてしまって悔しい気持ちはあるが、その中でベストは尽くせた」と、さまざまな思いをにじませました。

伊東コーチ「今持っている力は出せた」

現地で野中選手の登りを見守った伊東さんは「スタート前は少し緊張感も強いように見えて、本当に本人は悔しいと思うが、今持っている力は出せた。彼女はこの結果を受けて、また先に進んでいくと思う」と、力のこもった登りをたたえ、今後のさらなる進化にも期待を寄せました。

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