阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)は、1日に開場100周年を迎えた。7日からは第106回全国高校野球選手権大会が開幕する。

 今年3月の選抜高校野球大会開会式。阪神甲子園球場の100周年に合わせて配られたのが、甲子園の土が入った記念キーホルダーだ。全国選手権大会でも、7日の開会式と第1試合の入場者に記念キーホルダーを配布する。

 プロ野球の本拠では少数派だが、内野の土が甲子園の代名詞の一つになっている。

 100年前の球場建設で苦労したのが土だった。

 甲子園球場のある阪神間は白砂青松の土地で、野球で使うにはボールが見えにくい。そこで神戸の黒土と淡路島(兵庫県)の赤土を混ぜてグラウンドに敷き詰めた。

 阪神電鉄によると、当時の担当者はグラウンドを走ったり、滑り込んだりして土の色目を実験したそうだ。

 現在は黒土と砂を混ぜているが、春と夏では違いがある。日差しが強い夏は、白球を見やすくするために黒土を多めに、雨が多い春は砂を多めにしている。

 甲子園の土といえば、敗れた学校が試合後にバッグに詰めて持ち帰る場面が恒例だ。

初めて持ち帰った人は諸説ある。その一人が1937年、熊本工の川上哲治さん(元巨人監督)とされる。

 今のような習慣のはしりとされるのが、49年の準々決勝で敗れ、3連覇を逃した小倉北(福岡)のエース、福嶋一雄さんがひとつかみの土をポケットにいれた出来事だ。福嶋さんは長年、自宅で植木鉢に入れ、ゴムの木を育てた。

 58年には本土復帰前の沖縄から戦後初めて出場した首里の選手たちが土を持ち帰ったが、米国の法律によって「外国の土」と見なされた。沖縄へ戻る船上から、海へと捨てられた逸話もよく知られている。(八鍬耕造)

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