第106回全国高校野球選手権大会(7日開幕)の出場校による甲子園練習が3日、阪神甲子園球場であった。日本高校野球連盟が検討を始めた7回制の導入について、名門校の監督からは「7回にもドラマがある」「7回制よりDH(指名打者)制」などの声が上がった。
春のセンバツで2回優勝経験のある広陵(広島)の中井哲之監督は、「当然の話」と7回制の導入を前向きに受け止めた。
理由について、投手のけが防止や熱中症対策を挙げ「選手ファーストであるべきだ。国際的には既にそうなっている。監督が(野球を)できるのは選手がいるから」と、選手の健康を最優先すべきだとの考えを示した。「野球人口も減っている。いろんな親御さんと子供の考え方がある中で『これならできる』という野球界を考えていくべきだ」と話した。
今では延長十回からあらかじめ走者を置いた状態で試合を始めるタイブレークが導入されているが、かつての甲子園大会といえば、延長再試合の激闘がドラマを生んできた。中井監督は甲子園大会が築いてきた歴史にも思い巡らせ、「過去の歴史、好ゲーム、根性とかいろんなものがあり、過去には歴史に残る延長十八回もあったが、7回には7回のドラマがある」と新しい野球に期待を込めた。
2022年から7回制が導入されたU18(18歳以下)ワールドカップ(W杯)で、高校日本代表を指揮した明徳義塾(高知)の馬淵史郎監督は、「個人的にはやっぱり野球は9回という世代で育ったので、9回までやらせてあげたい。でも、大阪に来てからのこの暑さを考えると、どうなのかなという考えも持っている。今後議論していくことが大事」と複雑な思いを明かした。
23年W杯で代表を初の世界一に導いた経験を踏まえた7回制の戦い方については、「終盤勝負はない。前半勝負で逃げ切りです。好投手が2人いれば、四回までに2点リードすれば勝てる。(7回制によって)弱いチームが強いチームに勝てるという人もいるが僕は逆だと思う。投手の頭数を持っているところには勝てませんよ」と分析した。
さらに「子供たちがどう思っているかということ。やっぱり9回やりたいんだという気持ちが強いのか、それとも体力的に(厳しい)ということもあるでしょう。(個人的には)7回制より、DH制の方が先かな」と話した。【下河辺果歩、長宗拓弥】
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