バドミントン混合ダブルス3位決定戦を制して抱き合って喜ぶ渡辺勇大(左)、東野有紗組=ポルトドラシャペル・アリーナで2024年8月2日、玉城達郎撮影
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 パリ・オリンピック第8日は2日、バドミントンの混合ダブルス3位決定戦が行われ、東京五輪銅メダルの渡辺勇大選手(27)、東野有紗選手(28)=いずれもBIPROGY=の「ワタガシ」ペアが韓国ペアに勝利し、2大会連続の銅メダルを獲得した。

メダルの充実感

 「僕、東京五輪のメダルだけは自分の家に置いてあるんですよ。銅メダルなんですけど、なんか持っていたいんですよね」。充実感と、悔しさと。二つの思いが詰まった3年前を超えるために、戦ってきた。

 だからこそ、準決勝での負けは心に重くのしかかった。東野選手は試合後に目を赤くし、取材エリアでも唇をかみしめて涙をこらえていた。いつもは報道陣の目を見てひょうひょうと話す渡辺選手も、視線が下がったままだった。

 それでも、一夜明けるとコートにはいつもの「ワタガシ」がいた。折れることなく五輪を戦いきった。

 東京五輪は「通過点」と捉えていたつもりだったが、大舞台でのメダルの充実感は想像以上に大きかった。混合ダブルスを指導する日本代表のジェレミー・ガン・コーチは「次の目標をなかなか見いだせず、モチベーションの低下に直結していた」と振り返る。

 ジェレミー・コーチは大会後などに、意識的に意見交換の場を作るようにした。2人はペアを組んで13年になる。初めて組んだ時から、東野選手は「すごくやりやすかったし、スピード感も最初から合った感じがありました」と話すほど相性が抜群だったが、その信頼関係ゆえに、渡辺選手は「話さなくても、なんとなくこう思っているのかなとかは分かっていた」。

 だが、意識的にコミュニケーションを取って気付いたこともあった。「それ(話さなくても分かること)が100%ではないし、もしかしたら相手は逆のことを思っているかもしれない。言葉にするというのはすごく大事」

 試合へ向かう気持ちなども言葉にして共有すると、練習の中での細かなコミュニケーションも増えた。「そういう細かい積み重ねが、『ちりも積もれば』というやつですね」と渡辺選手は冗談めかすが、ジェレミー・コーチは「メンタル面が東京以降、かなり成長した。試合の中で起きる問題に対しての対応力が上がり、ペアとして成熟した」と評する。

 悔しい敗戦にも、しっかりと気持ちを立て直して戦い、メダルをつかんだワタガシ。目標の「金」には届かなかったが、3年間の成長の跡は、コートに確かに刻まれていた。【パリ玉井滉大】

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