■ペットボトルの持ち込み禁止 ■会場へは自転車で

パリオリンピックの組織委員会によりますと、これまでの夏のオリンピックでの温室効果ガスの排出量は準備から終了までの期間で、平均およそ350万トンとなっていて、今大会では半分以下の150万トン未満に抑えることを目標にしています。

大会期間中には競技会場やその周辺でさまざまな取り組みが行われていて、観客などに対しては会場へのペットボトルの持ち込みを禁止し、水筒の持参を求めたほか、市内の自転車専用道路を既存のものを含めておよそ415キロにわたって整備し、会場まで自転車を使って移動できるようにしました。

また、選手にも協力が求められ、電力消費を抑えるため選手村の室内にエアコンが設置されていません。
代替の手段として、床下に張り巡らされてパイプに冷たい水を流すことで部屋を冷却する設備を作りました。

■地方への移動 より二酸化炭素の排出量が少ない高速鉄道を

さらに、地方への移動などについて可能な場合は飛行機ではなく、より二酸化炭素の排出量が少ない高速鉄道TGVでの移動を求めました。

イギリス、オランダ、ベルギー、ドイツ、スイスの5つの国は、飛行機を使わず鉄道でフランスに入ったということです。

「なでしこジャパン」もTGVで移動

サッカー女子の日本代表「なでしこジャパン」の選手たちも、組織委員会の求めに従い、事前の合宿を行ったパリ市内から初戦が行われるフランス西部のナントまでおよそ400キロをTGVを使って移動しました。

利用者の多いモンパルナス駅を出発し、一般の乗客と同じ列車を使っての移動にはなりましたが、駅では大会の関係者が出迎えて警備員などとともに選手たちを先導したため、大きな混乱はありませんでした。

日本の宮澤ひなた選手は「たくさんの大会関係者がサポートしてくれているのでスムーズに移動ができたし、環境に配慮するという中でも不自由なく行動できていると思う」と話していました。

一方で初戦を終えて次の試合が行われるパリへ戻る際には沿線設備が破壊され、TGVが運転を取りやめた影響で、急きょバスを利用し、予定よりも長時間の移動を強いられる事態にもなりました。

組織委「『パリ協定』締結の都市だから 意味ある」

組織委員会のジョージーナ・グルゾン環境対策長は、環境に配慮した大会を目指す理由について次のように説明しています。
「私たちは今大会全体を“研究室”と考えている。既存の施設を活用したり温室効果ガスを減らすさまざまな取り組みを行うことによって、今までとは違った大会運営のモデルが実現可能だということを示したかった。国際的な枠組みである『パリ協定』が結ばれたこの都市で行われる大会だからこそ、やる意味があると考えた」

一方で、選手村の室内にエアコンが設置されなかったことなどについて負担の大きさを訴える声が上がったことについては、こう話しました。
「いくつかの国の委員会は、自分たちが慣れ親しんでいるものからすると十分ではないという意見を表明したが、こちらはすぐに対応しエアコンのレンタルを提案した。選手たちが感じる負担とこの地域の環境が今後受ける影響のバランスをとりながら対応を求めている」

その上で、次のように話していました。
「我々は、オリンピックの運営方法に新しい基準を設けようとしている。選手たちや大会の参加者には自分たちの役割を果たしこの新しいやり方を今後の大会に引き継いでほしいと願っている」

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