体操女子団体決勝、岸里奈の平均台=ベルシー・アリーナで2024年7月30日、玉城達郎撮影

パリ・オリンピック 体操女子個人総合決勝(1日、ベルシー・アリーナ)

岸里奈選手(16)=戸田市SC 11位

 初五輪で大観衆を引きつけた。3種目めの床運動。H難度の「シリバス」を成功させるなど大技を交えた丁寧な演技に、客席から自然と音楽に乗せて手拍子が起こった。近くで見守った豊島リサコーチは「感動した。拍手に応える演技ができて良かった」。細部をつめきれず、最終順位こそ11位だったが、岸選手は「大きなミスなくやり遂げたのはすごくいいこと」と充実感を漂わせた。

 最大の学びは自身の演技を終えた直後にあった。全体最終演技となったシモーン・バイルス選手(米国)の床運動。岸選手を含め、会場中が見入った。圧倒的な高さを誇る跳躍と繊細な表現。音楽がかき消されるほどの熱狂の中、五輪6個目の金メダルをつかんだバイルス選手の迫力に、岸選手は「高さがやばすぎて、どこまで行くんだろうみたいな(笑い)。パワフルな演技を見て、すごくいい刺激になった」と振り返った。

 あとは5日の種目別床運動決勝を残すのみ。そこでもバイルス選手とともに舞台に立つ。「まずはEスコア(実施点)を8点台に。着地をきれいにまとめて、持ち味のきれいさを存分に発揮したい」と今できることに集中する。その先に見据えるのは4年後。元々、次回ロサンゼルス大会個人総合でのメダル獲得を大きな目標に見据えてきた。「次のロスでは絶対取るぞ、という気持ちがまた芽生えました」。まだ16歳。一瞬一瞬が貴重な財産となる。【パリ角田直哉】

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