ウクライナ軍に所属するクリシュ選手は、2016年のリオデジャネイロ大会の射撃で銀メダルを獲得しましたが、前回の東京大会では、ほかの選手の標的を撃つミスで表彰台を逃していました。

50メートル先の標的を3種類の構えで撃ち、合計得点を競う種目で、1日の決勝に臨んだクリシュ選手は、片方の膝を立てた構えで撃つ最初の「膝射」を終えた時点で3位につけました。

姿勢の僅かな乱れが点数を大きく左右する中、クリシュ選手は呼吸を整えながら集中した様子で、体を伏せて撃つ「伏射」、そして立って撃つ「立射」を行い、一時はトップに立ちました。

最後は、世界ランキング1位の中国の選手に抜かれたものの、ウクライナにとって今大会、フェンシング女子の銅メダルに続く2つめのメダル獲得で、初の銀メダルとなりました。

競技中は、表情をほとんど変えなかったクリシュ選手でしたが、表彰式では初めて笑顔を見せ、両手でガッツポーズを作り歓声に応えていました。

“このメダルを家族と国家に捧げる”

銀メダルを獲得したセルヒー・クリシュ選手

クリシュ選手は「感無量だ。厳しい試合だったが、懸命に集中して結果を出そうとした。このメダルを家族と国家に捧げる」と述べ、祖国に希望をもたらすメダルとなることを願っていました。

ウクライナ外務省はSNSに「ウクライナの勝利への意志だ」と投稿してクリシュ選手をたたえる一方、国内ではこれまでに520のスポーツ施設がロシアによる攻撃の被害を受け、今も選手たちにとって、厳しい状況が続いていると訴えました。

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