パリ五輪の選手村にあるオリンピックシンボル。選手はSNSによる中傷被害に心を痛めている=パリ郊外で2024年7月23日午後3時38分、和田大典撮影

 日本オリンピック委員会(JOC)は1日、アスリートを巡るネット交流サイト(SNS)上の中傷について投稿マナーを守るよう求める異例の声明を発表した。侮辱や脅迫などの行き過ぎた内容については法的措置も検討するとしている。

 声明では「応援いただく皆さまに、ぜひアスリートがこれまで歩んできた道のりにも思いをはせ、その瞬間を見守り、応援いただけますと幸いです」と懇願し、「SNS等を通じた皆さまからの激励・応援メッセージは、アスリート、監督・コーチへの大きな力となっています。その一方で、心ない誹謗(ひぼう)中傷、批判等に心を痛めるとともに不安や恐怖を感じることもあります」と訴えた。

 SNSによる選手への中傷は近年、社会問題化しており、2021年の東京オリンピックでも問題となった。開催中のパリ五輪でも国内外を問わず、選手の振る舞いや決断などを非難する内容が投稿され、出場選手自身が被害を訴えるケースも散見される。

 国際オリンピック委員会(IOC)は今大会から出場選手のSNSに投稿された暴言などを多言語に対応した人工知能(AI)で検知し、SNS上から消去する仕組みを導入。選手村には精神面をケアするスペースを初めて設置するなど、対策に乗り出している。【パリ倉沢仁志】

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