陸上男子20キロ競歩、コースを周回する池田向希(中央)、古賀友太(左端)。奥はエッフェル塔=パリで2024年8月1日、中川祐一撮影

 パリ・オリンピック第7日は1日、陸上男子20キロ競歩が行われ、東京五輪銀メダルの池田向希(旭化成)は1時間19分41秒で7位だった。古賀友太(大塚製薬)が1時間19分50秒で8位、浜西諒(サンベルクス)は1時間20分33秒で18位。

 日本競歩界の課題はクリアされなかった。エースの池田向希を含め、日本勢は後半に一気にペースが上がる展開に対応できず、入賞するのが精いっぱいだった。

 開始前の一時的な大雨でレースはスタート。前半は大きな集団が形成され、池田らも中盤で力を蓄えた。15キロあたりから先頭集団が絞られても、池田らはその真ん中に近い位置でチャンスをうかがっているかのように見えた。

 一変したのは、直後の16キロ過ぎだ。先頭がスパートを掛けると、日本勢はずるずる離されていく。「ラスト5キロ勝負になるとは予想していたけど、まだ余裕を持っている選手が残っていた」と池田。いつの間にか晴れ間が広がり、強く降り注いだ日差しにも体力が削られた。

 競歩は今回、2021年の東京五輪まで実施されていた男子50キロが廃止された。スタミナ自慢の海外勢が20キロに移って来るだけでなく、世界選手権では実施される35キロとの両立を図るため、どの選手もスピードと持久力の強化に取り組んでいる。

 優勝したブリアンダニエル・ピンタド(エクアドル)らは20キロ、35キロのいずれも国際大会で上位に食い込む選手たちだ。池田は「集団を引っ張る時間も長かった」と改めてトップ選手らとの体力差を思い知らされた。

 「五輪の個人種目が20キロ一つになり、各国の選手が集まる『最強決定戦』になった」と池田は言う。東京五輪で池田が銀メダル、山西利和(愛知製鋼)が銅メダルを獲得してから3年。最近は世界の潮流に乗れない時期が続く。

 「強い」選手を育てるためにも、距離を問わない「マルチな選手」(今村文男・日本陸連競歩シニアディレクター)を作り上げる取り組みは、依然途上だ。【岩壁峻】

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