菰野が16年ぶり3回目の夏の甲子園出場を決めた三重大会。62校60チームの熱戦を振り返る。

 「高校野球は投手力で決まる」。以前から耳にしてきた言葉を再認識した。決勝に進んだ菰野と鈴鹿は、いずれもエースが試合の大半を任され、監督や仲間から「あいつで負けたら仕方ない」と信頼を受けてきた。

 菰野の2年生左腕・栄田はピンチにも動じず、決勝を完封で締めた。鈴鹿の今村は、指の不調で決勝は先発できなかったが、抜群の安定感でノーシードからの飛躍の原動力となった。

 2人の身長は栄田が168センチ、今村が166センチ。小柄でも、技術と経験値で十分に甲子園が狙えることを証明した。「エース1人で勝ち抜くのは難しい」と言われて久しいが、大黒柱になる投手はチームの精神的な支えにもなる。強打を誇る三重が、軸になる投手が不在で準決勝で敗れたのが印象的だった。

 序盤から波乱続きだった。1回戦の初日に、昨夏代表のいなべ総合が尾鷲に逆転負け。3回戦では、選抜出場の宇治山田商が鈴鹿に粘り負けした。「下克上第2章」が注目された昴学園は初戦で敗退し、東監督は「改めて夏の怖さを思い知った」と語った。ノーシードから8強入りした高田は、準々決勝で第1シードの津田学園に敗れたが、互角に戦った。

 古豪復活の期待も膨らんだ。かつて甲子園の常連だった海星や明野は、それぞれ1998年と87年を最後に夏の大舞台に出場していない。両校とも8強に入り、古くからのファンを大いに沸かせた。

 新たな息吹も感じた。プロ注目の強打者・寺井を擁する神村学園伊賀と、最速157キロを計測した右腕・吉留の近大高専。いずれも「伊賀地域から初の甲子園」を後輩に託す。

 2年生の活躍も目立った。菰野は5戦のうち4戦で、先発メンバー全員が2年生。昴学園のエース河田や海星の強打者水谷も2年生だ。来夏が楽しみだが、3年生への感謝の気持ちは忘れないでほしい。(本井宏人)

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 菰野の同窓会や野球部後援会などでつくる菰野高校甲子園出場実行委員会は、応援団派遣などの賛助金を募集している。同校事務室や口座振替で受け付ける。問い合わせは同校(059・393・1131)へ。

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