甲子園ホテル夕立荘のロビーに飾られた写真や寄せ書き。左は社長の島田昭一さん=兵庫県西宮市

 「勝ってくれることが僕らの喜び」。甲子園球場(兵庫県西宮市)すぐ近くにある「甲子園ホテル夕立荘」の2代目社長島田昭一さん(82)が笑う。70年以上、各地から来る高校球児を受け入れてきた。共に喜び、涙を流したことも。8月1日で開場100年を迎える甲子園。球児と島田さんの「熱い夏」が、今年も始まる。  島田さんの両親が球場そばに夕立荘を開業したのは、戦後間もない1950年だった。甲子園の壁には無数の弾痕が残り、付近には空襲で崩れた建物があったのを島田さんは覚えている。  初めて球児を泊めたのは51年。兵庫県代表として春の選抜大会に出場した地元の鳴尾高校だった。順調に勝ち進んで決勝戦にまで駒を進めたが、決勝で逆転サヨナラ負け。「泣きながら帰ってくる姿が今も忘れられない」  以来、球児の宿として、春と夏、各地の代表校に親しまれるようになった。父親が亡くなり、85年に島田さんが後を継いだ。東京代表の定宿となり、2001年夏には日大三高が優勝。島田さんの願いがかなった瞬間だった。


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