39校34チームが参加した第106回全国高校野球選手権奈良大会は、智弁学園が2年連続22回目の優勝を飾り、幕を閉じた。奈良大会の連覇は2010年の天理以来で、智弁学園としては08年以来となった。
今大会の大きな変化は、低反発バットの導入だ。打者を打ち取りやすくして、投手の負担軽減を図ることなどが狙いだが、奈良大会でも本塁打数は、昨年の29本から6本に大きく減少した。
その6本のうち、3本が智弁学園。2回戦で小泉輝妃一(てっぺい)(3年)が放った2点本塁打と、3回戦の佐坂悠登(3年)の2打席連続本塁打だ。
智弁学園は全5試合で三塁打3本、二塁打7本の長打も記録。他のチームを大きく引き離しており、低反発バットでも、ボールの芯を捉える的確な打撃をしていたことがうかがえる。
また、今大会から新たに五回終了時に、10分間のクーリングタイムが設けられた。
暑さ対策が目的だが、前大会までのグラウンド整備の時間よりも選手たちの休憩が長くなったことで、いい意味でも悪い意味でも「流れ」がリセットされてしまう作用があったようだ。
例えば、準々決勝の智弁学園―天理。五回まで互いに一歩も引かず2―2で折り返したが、後半は智弁学園が流れをたぐり寄せ、3点を挙げて激戦を制した。
逆に決勝の奈良大付戦では、5―0と前半は優位に進めていたが、クーリングタイム以降、流れは奈良大付に。1点差まで追い上げられた。試合後、智弁学園の小坂将商監督は「クーリングタイムがまだまだうまく使えていない」と振り返っていた。
県高野連の村井博樹会長は「10分間のクーリングタイムで、選手たちの緊張感を維持することが難しくなった。六回の立ち上がりを試合開始と同様に考えていかないといけないのでは」と話す。
今大会は話題も多かった。開幕試合を戦った五條では、難病と闘う阪本勇斗(2年)がメンバー入りし、開会式では車いすで入場行進した。日本高野連によると「(車いすでの入場行進は)聞いたことがない」という。
また、畝傍の女子マネジャー・和田実央菜さん(3年)がノッカーを務めた。県高野連に記録はないが、女子部員が担うのは初めてのこととみられるという。(佐藤道隆)
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