160校148チームが参加した千葉大会が27日、閉幕した。決勝はノーシード校同士による決戦となり、木更津総合が市船橋を2―1(延長十回タイブレーク)で破って、6年ぶり8回目の夏の甲子園を決めた。「戦国千葉」とも称された、この夏を振り返る。(杉江隼)
シード3チームが初戦敗退
シード16チームのうち、3チームが初戦から姿を消した。波乱を予感させる幕開けとなった。
好投手ぞろいのBシード・千葉黎明は延長十回タイブレークで東京学館船橋にサヨナラ負け。59年ぶりに春季県大会で8強入りしたBシードの長生は、八回に1点先取したが直後の守りで5点を取られ、市松戸に逆転負けを喫した。秋の地区予選で中央学院を破ったCシードの四街道は、木更津との県立対決に敗れた。
木更津はシード校を破った勢いのまま、県立で唯一16強に進出している。
Cシード・千葉明徳は初戦(2回戦)で勝利したが、劇的だった。全国制覇から50年の節目を迎えた銚子商と対戦。4点リードされた九回に5点を挙げ、薄氷のサヨナラ勝ちだった。
東海大市原望洋は、光英VERITASとの3回戦で、投手戦を繰り広げ、延長戦で勝利。勢いにのり、16強を決める4回戦でAシードの千葉英和を破った。同じく4回戦でAシードの千葉経大付は成田に接戦の末敗れた。
結局、夏の16強の中でシードは7チームのみ。春の16強から半数以上の顔ぶれが変わった。ノーシードが半分以上を占めた夏の千葉大会は5年ぶりだった。
4強入りした東京学館はノーシード。準々決勝でBシード・志学館に勝利し、昨夏の準々決勝の雪辱を果たして、31年ぶりの夏4強となった。
夏の県連覇を狙う専大松戸や習志野、拓大紅陵といった優勝経験もある強豪がひしめく激戦区となったCブロックを勝ち抜いたのも、ノーシードの市船橋だった。4強で唯一のシード校となった市原中央も破り、決勝に進出した。
そして、決勝は木更津総合と市船橋のカードに。ノーシード同士の対決となり、「戦国」を象徴する最終決戦になった。
木更津総合は6年ぶりの夏の甲子園
優勝した木更津総合は、6年ぶりの夏の甲子園となる。
昨秋と今春の県大会で苦汁をなめたが、一戦ごとに成長していった。
春の選抜4強の中央学院と戦った準々決勝では、好機を確実にものにする勝負強さが光った。安打数は中央学院が7本、木更津総合が9本と、わずか2本差にもかかわらず、点差が開き、八回コールドに沈めた。
決勝の相手はくしくも2年前の決勝で敗れた市船橋だった。息詰まる投げ合いの末、延長タイブレークに突入。審判の判定を巡って18分間の中断もあったが、最後は相手のミスを誘い、夏の切符をつかんだ。
夏の甲子園で木更津総合の最高成績は2016年の準々決勝進出。県勢は、銚子商と習志野が千葉代表として2年連続の全国優勝を果たした1975年以来、深紅の大優勝旗を持ち帰れていない。県勢として49年ぶりに全国制覇をなしえるか。
低反発バットで本塁打4割減
夏の千葉大会でも、低反発バットの使用が義務付けられたことが今大会の特徴と言える。
千葉県高校野球連盟によると、今大会の本塁打数は全147試合で計35本(ランニング本塁打を含む)。昨夏の54本から約4割減となった。
また、天候も不安定だった。昨夏は1試合だった継続試合が5試合となり、東京学館浦安は3日連続の試合となるなど、過密日程になる不運もあった。
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