(27日、第106回全国高校野球選手権岡山大会準決勝 岡山理大付0―5岡山学芸館)

 五回、岡山学芸館の先頭打者に安打は許したけど、投手の牽制(けんせい)でつりだして刺した。本塁突入を狙ってきた走者は、外野の好返球と的確な中継でアウトに。なのに、勢いを止められない。

 「イケイケで来てる相手に持って行かれた感じ」。岡山理大付の捕手、桜木漣(3年)はこの回、相手打線から浴びた7連打をそう振り返った。

 桜木はこのチームの「核」だった。中学時代は硬式のクラブチームで好選手として鳴らした。進学先に父の母校を選んだのは「寮に住みたかった」から。自宅からは30分ほどだが「これからの人生、一人暮らしをするため自分でやることを経験したかった」という。

 「桜木が行くなら面白いチームになりそうだ」と主将の鷹取晃正(3年)らリーグの選抜チームの仲間も集まり、昨夏には早々と主力に。「黄金世代」の中心には常に桜木がいた。

 今夏は投手陣を個々の性格に応じたリードで引っ張り、3番打者として打線を牽引(けんいん)した。「今まで通りやれれば全然互角に戦えたはず。それができなかったのが敗因」。昨夏に続き、準決勝の壁を破れなかった。

 「寮生活はほんと楽しくて、良い経験になった。いいチームでした」と振り返った桜木。「プロに行きたいのが一番。強肩強打でチームを引っ張る捕手になりたい」。未来を語る声には、力が戻っていた。(大野宏)

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