(27日、第106回全国高校野球選手権富山大会準決勝 富山商7―6富山北部)

 富山北部の福山天輝(てんき)投手(3年)は9回を投げきってマウンドを降りた。逆転を信じたが、最後の打者が打ち取られ、夏が終わった。

 春季県大会の後、投球フォームを修正。笹野祐輔監督のアドバイスもあり、今年解禁になった「二段モーション」に。ひざを上げ、少し下ろしてもう一度上げる。軸足にしっかりと体重を乗せて移動、指先まで力を伝えることで、より強いボールを投げられるようになった。130㌔前後だった球速が、130㌔台後半にアップした。

 投球フォームの修正は簡単ではない。特に春の大会終了から富山大会まで期間が短い。ただ、大胆な改造は、福山投手も笹野監督も口をそろえて「はまりました」と話す好結果を生み出す。全6試合に登板、決勝を含め4試合で完投した。球威が増した分、低めの変化球が生き、空振りが取れる。笹野監督は「打線に力がない分、投手に負担をかけている。それでも我慢強く投げる姿にエースとしての成長を感じた」とほめた。

 この日は序盤から、打線が得点を取ってくれた。試合後、福山投手は泣きはらして「きょうは援護があったのにつかまってしまい……。めちゃくちゃ悔しい」。この大会で投げた679球。エースとしてマウンドを守った。

 2年連続で準優勝。「来年この舞台で勝ってほしい」。甲子園への道は後輩に引き継がれることになった。(前多健吾)

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