(27日、第106回全国高校野球選手権東東京大会準決勝 帝京13―3東京=八回コールド)

 野球の神様ってほんとにいるんだ、って思った。延長タイブレークになった準々決勝の日大豊山戦、最後は相手のエラーでサヨナラ勝ち。スタンドで見ていた東京高校の比嘉三輝(3年)は鳥肌が立った。「すげぇなって、感動して」。試合を見て涙が出そうになったのは、初めてだった。

 野球を始めたのは小学5年の時。家に近いという理由で、東京高校を選んだ。

 小さい頃から人を笑わすのが好きで、一発ギャグを披露していた。高校に入ってからもそう。練習終わりにチームメートのものまねをして笑わせたり、和ませたり。いつも通り過ごしているだけだけど、いつのまにか、ムードメーカーっぽい役割になっていた。

 2年になり、AチームとBチームをいったりきたり。この夏はベンチ入りできなかった。だけど、悔しいというよりも、すっきりしている感じ。勉強が苦手で、進級できるかも、ぎりぎりのラインだった。「もうちょっとやっていれば」という気持ちもなくはないけど、みんなと一緒に3年の夏を過ごすことができて、ほっとした気持ちの方が大きかった。

 新チームが始まってから、正直言ってまとまりがなかったけど、秋、春を越えて、この夏はやっとチームがまとまってきたように思う。でも、前の日大豊山との試合は負けたと思っていた。先取点を取られたのは初めてだったから。あの試合で、最後まであきらめないことの大切さを学んだ。

 実力だけじゃはかれないのが、高校野球の醍醐味だと思う。それを実感できた5試合。3年間で一番長かった夏。わくわくして、楽しかった。=神宮(野田枝里子)

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