パリ五輪の開会式で船に乗りパレードする日本選手団=パリで2024年7月26日午後8時半、玉城達郎撮影

 第33回夏季オリンピック大会が26日夜(日本時間27日未明)、フランス・パリで開幕した。初めてスタジアム外のセーヌ川で実施された開会式には約32万人の観客が詰めかけ、街並みを生かした、華やかな演出を見守った。ただ、この日の早朝には国内の高速列車TGVで複数の路線が破壊される事件があり「平和の祭典」は厳戒下でのスタートを余儀なくされた。

 パリでの五輪は100年ぶり3度目。開会式は雨の中で行われた。各選手団を乗せた船はオステルリッツ橋の下から次々と出発し、ルーブル美術館やコンコルド広場など名所のそばを通過しながら、トロカデロ広場まで約6キロを水上パレードした。川沿いは12のテーマに分けた演出の舞台となり、自由、平等、友愛、スポーツマンシップなどのキーワードに応じたダンスや歌唱などが披露された。

 中東やアフリカの難民選手団や、パレスチナの選手団が通過すると、沿岸から大きな声援が送られた。日本選手団は93番目に現れ、船上から日の丸を振った。

 演出では、フランスの人気歌手で「多様性の象徴」とされる西アフリカ・マリ出身のアヤ・ナカムラさんが歌を披露した。また、過去に政治、文化、スポーツなどの分野で活躍したフランス人女性の像が、沿岸に置かれた台座の中から次々と現れる場面もあり「ジェンダーの平等」をうたう大会の特徴が強調された。橋を舞台にしたファッションショーもあった。

 選手らがたどり着いたトロカデロ広場では、ライトアップされたエッフェル塔を背景にマクロン大統領が開会を宣言した。さらに20人以上のオリンピアンが、歴史的な街並みを巡りながら次々と聖火をリレー。最後は柔道男子100キロ超級のテディ・リネール選手と、陸上女子短距離のマリー・ジョゼ・ペレク元選手が、チュイルリー公園の聖火台に点灯した。

 一方、26日早朝にTGVの路線破壊事件が起きると、メディア向けの開会式の事前説明は中止された。今後、選手の競技会場への移動などにも影響が残る可能性がある。無事に大会運営ができるのか、テロへの懸念を残しての開会となった。

 史上初めて出場枠の男女同数が整えられた大会は8月11日までの日程で、32競技329種目が実施され、約1万1000人の選手が参加する。27日は柔道女子48キロ級決勝、スケートボード男子ストリート決勝が予定され、今大会で日本勢初のメダル獲得が期待される。【パリ黒川晋史】

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