宮城大会は、聖和学園が大会3連覇を目指す仙台育英を破り、春夏通じて初めての甲子園の切符を手にして幕を閉じた。参加66校59チームの12日間58試合の熱戦を振り返る。
宮城大会を制したのは聖和学園だ。準決勝まで2点差の接戦を制し、目指してきた「泥臭く、粘り強い野球」を体現するような、しぶとい攻撃で勝ち上がった。
準々決勝まではロースコアの試合運びだったが、大会終盤にかけて打線が爆発。仙台商との準決勝では12安打を放って逃げ切ると、決勝では19安打の猛攻を見せ、序盤から流れを引き寄せた。投手戦も乱打戦も勝ち抜く強さを見せた。
準優勝した仙台育英は甲子園常連校だけに、準決勝まで相手に一度もリードを許さなかった。エース山口を筆頭とする5人の投手陣が決勝を除く4試合で失点3と完成度の高い投球を見せた。
公立校の活躍も光った。仙台商はエース大友が3試合を完投し、13年ぶりに準決勝進出を果たした。石巻は2回戦、第2シードの仙台城南を相手に、2年生今野が被安打6無失点の好投を見せ、1―0で破った。
昨年、校名を志津川から変更した南三陸は選手12人ながら、3回戦に進出し、聖和学園に2―4と健闘。石巻工は、春夏通じて42回甲子園出場の東北を相手にタイブレークにもつれ込む接戦を繰り広げた。
実力校同士の仙台一と仙台三は1回戦で激突。同点の場面で仙台一の菅井が大会初本塁打を放ち、競り勝った。
今年からこれまでのバットに比べ、飛びにくいとされる低反発バットが全国一律に初導入となった影響もうかがわれた。今大会中の本塁打は5本(うち2本はランニング本塁打)。昨年(16本)の3分の1以下だった。
コールド試合も昨年の26試合から16試合と減少。例年よりも長打が出づらかったほか、全体のレベルが拮抗(きっこう)していることも背景にありそうだ。
準々決勝の古川学園―東北学院榴ケ岡は、雨天で中断となり、翌日に再開する「継続試合」となった。試合をやり直すとその分、体力が消耗するため、天候次第で不公平にならないよう2年前から全国各地で導入が始まった新制度だ。宮城大会は今年から導入となり、この試合が初適用だった。
今大会は、66校59チームが参加した。少子化も背景に、62チームが参加した昨夏より3チーム減った。宮城大会初の五校連合チームも出場し、はつらつとしたプレーを見せた。
全国大会は8月7日から始まる。聖和学園は、創部20年で春夏通じて初の甲子園出場を決めた。「まだまだ伸びしろがある」(八島知晴監督)という選手たち。初めての聖地、甲子園でさらなる躍動に期待したい。(岸めぐみ)
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