パリオリンピックを前に現地で行われているIOCの総会は23日、初日の審議が行われ、開幕が3日後に迫ったパリ大会の準備状況などが報告されました。

バッハ会長はパリ大会について「あらゆる準備が整い、熱気が広がっている」などと述べ、大会組織委員会の取り組みや機運の高まりを評価しました。

総会では、コンピューターゲームを競技として行う大会『オリンピック・eスポーツ・ゲームズ』について審議の結果、賛成多数で新たに設けることになり、来年に予定される第1回大会をサウジアラビアで開くことを決めました。

総会後の会見でバッハ会長は「eスポーツの大会の新設はデジタル世界への適応だ。若い世代のコミュニティーとともに成長する将来のスポーツを見据え、AI関連の施策と抱き合わせて議論してきた。この決定は将来への試金石となり、新境地への導入となるだろう」と大会の意義を説明しました。

総会2日目の24日は、2030年と34年の冬のオリンピックの開催地選考などについて審議が行われる予定です。

eスポーツ大会 創設の背景は

IOC(国際オリンピック委員)がeスポーツの大会を創設した背景には若者のスポーツ離れを食い止めるねらいがあります。

近年、IOCは若者に人気の高いコンピューターゲームなどの「eスポーツ」や体を動かしてオンラインで競う「バーチャルスポーツ」の推進に力を入れてきました。

2021年に公表した15項目にわたるオリンピックの改革案の中ではバーチャルスポーツの発展を奨励し、ゲーム界との関わりを深めることが盛り込まれました。

また、若い世代がよりスポーツやオリンピックに興味を持ってもらえるようにバーチャルスポーツを将来の大会競技として検討することを決めました。

eスポーツは世界各地で大会が開かれるなど市場も年々拡大していて、日本eスポーツ連合によりますとおととしの国内の市場規模は125億円余りで来年には210億円を超えると推定しています。

さらにeスポーツの試合を観戦したり動画を視聴したりする国内のファンの数はおととしの時点でおよそ776万人と見込まれ、来年には1000万人を超えると予測しているということです。

去年6月にはIOCが主催して、初の対面でのeスポーツの国際大会「オリンピックeスポーツシリーズ」がシンガポールで開催されました。

この中では自転車やテコンドーなど10の競技が行われ、日本を含め64の国と地域から100人以上の選手が参加しました。

また、去年のアジア大会でも正式競技として初めて採用され、2026年に愛知県などで行われる大会でも引き続き実施されます。

一方で、eスポーツをめぐっては、スポーツとして認めるかどうかという議論やゲーム依存などの課題も指摘されていて、IOCの今後の動向が注目されています。

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