(21日、第106回全国高校野球選手権熊本大会準々決勝、有明0―6熊本工)
「インコースを厳しく突く」。それが、この試合で先発した稲岡寛太投手(3年)と岩元太一捕手(同)の有明バッテリーのプランだった。
熊本工とは5月下旬のNHK旗大会でも対戦。稲岡投手は途中から登板して外角中心の組み立てをしたことから、21日の準々決勝では逆を突くことにした。
速球は走り、得意のスライダーやカーブ、カットボールの変化球も切れた。作戦は功を奏し、四回を終えて被安打1、無失点と「今大会随一の左腕」の評判に見合う内容だった。
だが五回に先頭打者に安打を許すと力が入った。暴投で1失点。四球、失策が重なり、相手打者のバントの構えに油断して甘いコースに投げた直球を痛打され、2点目も失った。
18日の3回戦を126球で完投。この試合も四回を終えて64球と疲れはあったが「そのうえでも、最良の投球をしなければならなかった」。
六回途中で降板すると、ベンチで先頭に立って声を出した。相手打者の特徴から、どの方向に打球が飛びそうなのか、味方の野手や投手に声を掛けた。マウンドを降りても、最後までエースの役割を果たした。(吉田啓)
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