(20日、全国高校野球選手権長野大会準々決勝、赤穂9―1長野商)
ここで得点できなければコールド負けだ――。七回、その重圧下で長野商の4番、湯本佑大(3年)が役割を果たした。1死から内角に食い込む球を中前に運んで出塁すると、後続の長打で生還し、中軸の意地を見せた。
右投げ左打ちの長距離砲。その原点は、少年野球の頃に負ったけがにある。
小学3年で野球を始めた当初は「右投げ右打ち」だった。小6の頃、球を投げる時に肘(ひじ)が激しく痛んだ。重度の「野球肘」だと診断された。
「好きで始めた野球だから、やめたくなかった」。利き手を変える決心をした。右肘に負担をかけないように、中学2年まで「左投げ左打ち」に挑戦。肘が回復した後、投げ方は中学2年で「右」に戻したが、打撃はそのままにした。
途中から左打ちにした分、周りに追いつかないと、という思いが人よりも徹底的に振り込む理由になった。打撃が開花した。
昨秋からのモットーは、「相手が嫌がるフルスイング」。終盤に出た2本の安打に、野球生活が詰まっていた。
「後悔しないように出し切れた」と話し、涙をぬぐった。(高億翔)
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