【帝京第三-日本航空】九回裏日本航空2死満塁、中前に抜けた打球を持って二塁を踏んだ帝京第三の中堅手・堀間(右)=甲府市の山日YBS球場で2024年7月19日午後1時18分、野田樹撮影

 第106回全国高校野球選手権山梨大会の準々決勝で、九回裏のサヨナラ打が「幻」になる珍しいプレーがあった。

 19日に甲府市の山日YBS球場であった帝京第三と日本航空の準々決勝。日本航空は九回裏2死から、1―1の同点に追いついた。なおも満塁の好機で、5番・中西の打球がセンター前に抜け、三塁走者がホームイン。劇的な「サヨナラ勝ち」に選手たちは喜びを爆発させ、整列しようとした。

 帝京第三ナインは多くがグラウンドに崩れ落ちた。そのさなか、中堅手の堀間がボールを持って二塁を踏んだ。一塁走者が二塁を踏んでいなかったためフォースアウトが成立。塁審が右腕を掲げると球場が騒然とし、塁審がマイクを持って説明した。

 二塁を踏んでいないことに気づいていた帝京第三の大牧大輔監督は「日ごろから『しっかりベースを踏め』と言っていたので選手が気づいたと思う」と振り返った。機転の利いたプレーで勢いに乗った帝京第三は、延長十一回表に2点を勝ち越した。

 しかし、日本航空は、二塁を踏み忘れた4番・雨宮の中前適時打などで再び同点に追いつく。最後は179球を投げた帝京第三のエース・橋本が力尽き、押し出し四球で勝負が決まった。3時間を超える熱戦に、会場は歓声に包まれた。

 日本航空の選手たちは、延長タイブレークで「ベースを踏め」と声を掛け合う気持ちの強さで、「2度目」のサヨナラ勝ち。21日の準決勝に駒を進めた。【野田樹】

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