(18日、全国高校野球選手権熊本大会3回戦 有明6―2開新)

 1点リードして迎えた八回表。2死から四球と安打でピンチを背負っても、開新のエース河津望亜(のあ)投手(3年)は落ち着いていた。

 スパイクのひもを結び直して間を取ると、有明の一塁走者のすきを見逃さずに牽制(けんせい)球でタッチアウトに。相手に傾きかけた流れを一度は食い止めた。「終盤のピンチを想定してふだんから練習してきた成果が出た」

 九回には失策に自らの暴投などが絡んで失点し降板した。「ピンチが続き力んでしまった」。その後も勝利を信じてベンチから仲間と声をかけ続けたが、終盤の相手の勢いを止めることはできなかった。試合後、ベンチ前で泣き崩れた。「ベンチ入りできなかった部員のためにも勝てず、後輩のミスもカバーできなかった」と悔やんだ。

 この日は接戦の原動力となった。スライダーとチェンジアップの変化球を武器に要所を締めて、八回まで5安打に抑えた。大会屈指の左腕、稲岡寛太投手(3年)を相手に投げ合えたことに「粘り強い投球はなんとかできていたと思う」と前を向いた。「もっと粘れるよう、仲間とこれまで以上に厳しい練習を乗り越えていってほしい」。甲子園出場は、後輩たちに託した。(築島稔)

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