(17日、第106回全国高校野球選手権岡山大会2回戦 倉敷工0―1創志学園)
創志学園の門馬敬治監督が掲げる「アグレッシブ・ベースボール」は、足での仕掛けが真骨頂だ。対戦した倉敷工の捕手・浅野間帆登(はいと)(3年)は、真っ向から受けて立った。
初回に併殺崩れで1点を先制されたが、二回は後藤龍太朗(3年)の二盗を阻止し、三回には角戸陽成(3年)も刺した。「いつ盗塁にこられてもいい準備はしていたし、こちらが狙ったタイミングで走ってくれた」。創志ベンチとの読み合いを制し、エース陶山来夢(らいむ)(2年)を助けた。
ただ、打線は初回の2安打にとどまり、創志の先発中野光琉(ひかる)(3年)に抑えこまれた。二回以降は1死球だけで二塁を踏めず、1時間50分で完封された。「ほんと、あっという間に終わった試合でした」。これまでで最高の投球をしてくれたのに泣き続ける2年生エースの肩を抱き、自身も涙をこらえながら「来年頑張れよ」としか言えなかった。
小学2年で野球を始めたときからずっと捕手。「最初から捕手をやりたくて。1人だけ防具をつけ、自分の技量で勝負が決まるのが格好良かった」。軟式野球部のある企業に就職し「絶対勝てる捕手」を目指す。
この日は18歳の誕生日。最初の打席でスタンドの仲間が「ハッピーバースデー」を歌ってくれた。「楽しかったし、勝てると思ってやっていた……。勝ちたかったです」。改めてスコアブックに目を通し、静かにつぶやいた。「いい試合でした」(大野宏)
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