パリオリンピックでアスリートが競技に集中できるよう工夫された“透けないウェア”を取材しました。

間もなく開幕するパリオリンピックで、日本の選手団が着用するユニホーム。
洗練されたデザインはもちろん、それぞれの競技の特性に合わせて選手たちのパフォーマンスが最大限に生かせるようさまざまな技術が施されていますが、実はもう1つ、女性アスリートたちを守り競技に集中できるようにするための見えない工夫が施されています。

大阪市にあるスポーツ用品大手ミズノ。

今回のパリオリンピックでは女子バレーボールや卓球、ホッケーなど、日本代表選手のユニホームを手掛けていて、そこには、ある画期的な技術が使われています。

“ドライエアロフローラピッド”という独自の素材が使われていて、素早く汗を乾かすなど機能面でアスリートを支えていますが、もう1つ、「透けにくい」という最大の特徴があります。

ミズノ 材料開発課・田島和弥氏:
特殊な糸が人から出てくる赤外線を吸収し、赤外線カメラに届く赤外線の量を減らすことで赤外線カメラに対する防透け性を向上させることができました。

黒いインナーを着けたマネキンに、従来の素材のウェアを着せてから赤外線カメラで見てみると、ウェアが透けて中に着ているインナーの文字がくっきりと見えてしまっています。

次に、新しく開発した素材のウェアを着せて同じように赤外線カメラで見てみると、インナーは、ほぼ見えません。

近年、一部の女性アスリートからも批判の声が上がっていた赤外線カメラによる盗撮問題。
新素材のウェアはこれを解決し、競技に集中できる環境をサポートします。

女子バレーボールの日本代表チームは先日行われたネーションズリーグからこのウェアを着用し、オリンピックでも着る予定です。

ミズノ 材料開発課・田島和弥氏:
盗撮の観点に関しても、何人かのアスリートの方にヒアリングをしていまして、こういった防透け性を向上したものがあると安心して、集中してプレーすることができるのでうれしいという声もいただいています。

すでにミズノの公式ショップでも、同じタイプのウェアが一般向けに販売されていて、売れ行きも上々だといいます。

ショップ販売員:
外国の方はこのジャパンというロゴや国旗に目が行く方が多く、購入される方が多いです。日本の方はこれを着て応援したい、一緒に応援したいという気分で購入される方は多い。

ミズノ 材料開発課・田島和弥氏は「こういった機能性はいろんな種目、服の種類、さまざまな形で転用できると思うので、より多くの方に着用してもらって、より快適に安心して皆さんがプレーできるようにものづくりを進めていきたい」と話します。

さまざまな面からアスリートを支える日本のすぐれた技術。
このウェアを着た選手がパリの表彰台に。今から目が離せません。

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