(20日、東京六大学野球春季リーグ 明大21―2東大)
「侍ジャパン」の井端弘和監督が、視察で神宮球場を訪れた。その遊撃守備の元名手が、手放しに大学生ショートをたたえた。
「タイプ的には(元阪神の)鳥谷。守備に安定感があり、急ぐときは派手なプレーもできる。(プロ入りすれば)早い段階からチームの主力を張れる」
明大の遊撃手で、今秋のドラフト1位候補の宗山塁(4年、広陵)のことだ。
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宗山は東大との春季リーグ初戦に「3番・遊撃手」で先発した。
一回には球足の弱いゴロを処理し、軽快にランニングスローした。
打っては打者一巡の攻撃となった二回、2本の適時打を放って2打点を挙げた。いずれもツーストライクから、コンパクトな振りで内野の間を抜いた。
「とりあえずヒットが出て打点につながったというのは大きい。勝負どころでの打席は課題にしているので、継続してやっていきたい」。宗山はそううなずいた。
右投げ左打ち。身長176センチと決して大柄ではないが、走攻守の三拍子が高いレベルでそろう。1年春から出場機会をつかみ、2年春には打率4割2分9厘で首位打者に輝いた。ベストナインは1年秋から3季連続で受賞した。着実に実績を積み上げ、最終学年を迎えた。
しかし、開幕を約1カ月半後にひかえた今年2月末、アクシデントに見舞われた。
練習試合で死球を受けて右肩甲骨を骨折。全治3カ月の診断を受け、初招集された侍ジャパンの強化試合での出場もかなわなかった。
4月初旬の時点では、明大の田中武宏監督も「いないものと考えている」と話していたが、宗山は電気治療などを駆使して想像以上の回復力を見せた。
オープン戦やシート打撃などで30打席以上をこなし、この日のチームの初戦に間に合わせた。
「自分の状態を見ながら(状態を)上げていった。守備の不安はなくなっている」
通算安打はこれで96安打に。明大の先輩の高山俊が持つリーグ最多記録(131安打)の更新にも期待がかかる。が、伝統校の主将として、めざすのはあくまでもチームの勝利だ。
「ほかの選手とは違う立場にいることはわかっている。たくさん試合に出て神宮で経験をさせてもらったからこそ、仲間を安心させる声をかけたい」
目指すは春秋のリーグ戦と全国大会を制する「4冠」。大学球界屈指の遊撃手の、ラストイヤーが始まった。(大宮慎次朗)
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