(14日、第106回全国高校野球選手権岡山大会1回戦 倉敷古城池11―8岡山御津・倉敷鷲羽・備前緑陽)
4点を追う四回。岡山御津・倉敷鷲羽・備前緑陽は、連合チーム全体と鷲羽の主将を兼ねる赤木諒信(3年)が四球を選んで反撃の口火を切った。
2死一、三塁として矢部晃生(鷲羽3年)の適時打でまず1点。さらに2死満塁から連続押し出しで1点差に迫り、御津の主将の草地健太(3年)につないだ。「どこからの自信か分からないけど打てる感覚があった。でも球種は全然思い出せません」。打球は中前へ抜け、逆転。再び打席に立った赤木が三遊間を抜き、この回一挙6点を奪った。
3年前の秋、3校は岡山初の連合チームとして公式戦に参加。普段も平日は各校で練習し、週末に集まって試合や練習をしてきた。ただ、夏は一昨年が倉敷鷲羽、昨年は岡山御津が単独チームとして出場。単独チームも、他の2校連合もそろってコールド負けを喫した。
初めて3校で挑む夏。「昨秋から同じチームで戦えるので、より良い形で臨めるはず」と話していた赤木。その言葉を証明した。
試合は七回に追いつかれ、終盤は再三の好機を逃す。延長タイブレークで5点を先行されたが、その裏に2点を返し食い下がった。降りやまぬ雨の中、泥にまみれた選手たち。村上弦監督は「彼らの力以上のものが出ていた」とたたえた。
夏の大会で、リードを奪ったのも、最終回まで戦えたのも3年目にして初めて。最後の打者になった草地は少し目尻をぬらしながらも「3年間で一番濃い試合ができた。めちゃめちゃ楽しかったです」。赤木は「もっとできると見せたかったけど、戦えることは示せた。今度は勝ち上がるところを見せてほしい」。晴れ晴れとした笑顔で、後輩たちに夢を託した。(大野宏)
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