第106回全国高校野球選手権愛媛大会は、7月13日に開幕し、55校の48チームが出場する。一つの目的に向かって力を合わせる、個性豊かな選手らの姿を紹介する。

伊予・福岡和登選手

 愛媛県松前町の県立伊予高校野球部の投手、福岡和登(わかと)選手(3年)は、芸術系学部への進学をめざして腕を磨いている。志望は高校の美術教師。「自分にしか出せない線があると信じている」

 幼いころ、イラストレーターだった伯父の影響で絵を描くのが好きになった。マンガ「ドラゴンボール」の模写に熱中した。とりわけ、登場人物の筋肉や血管を好んで描いた。

 中学時代は学校の軟式野球部と硬式のクラブチームの両方でプレー。美術とは離れた。

 「再会」は高校1年。授業で教師に作品をほめられ、美大への進学を勧められた。2年に進級するとき、より専門的に学ぶ芸術クリエーションコースを選んだ。

 野球と美術には共通点があると感じる。

 バッティングは、投球に対する一瞬の判断が勝負を分ける。美術でも描線がずれたら瞬時に気づかないと、ずれは大きくなっていく。

 丁寧さが肝心なのも同じ。雑なプレーや筆触は、試合や作品を台なしにする。

 描いていると没頭する。その集中力は野球で培われたと思う。「今は基本を一から学んでいる最中」。ポケモンカードの作画などで知られるイラストレーターのカンダシンジさんの絵が好きだ。

 チームのエースで主将、打線の主軸も担う。この夏は、クセのある直球で打者を詰まらせ、チームを奮い立たせたい。

 「将来は生徒から頼りにされ、生徒を導ける教師になれたら」。自分がそうだったように。「ぜいたくを言えば、高校野球の指導者もやりたい」(中川壮)

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